2024年 4月 24日 (水)

ブルーベリー:濃縮ジュースが高齢者の脳機能向上 男性にうれしい「みなぎる力」アップも

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   「奇跡のフルーツ」といわれるブルーベリーには、眼精疲労の回復や緑内障の予防など、目を中心に多くの健康効果が知られているが、ブルーベリーの濃縮ジュースが高齢者の脳機能を向上させるという研究が発表された。

   研究者は、ブルーベリーに含まれている紫色の色素「アントシアニン」の強力な抗酸化パワーによるものだと指摘している。

  • たくさんの健康効果が凝縮されたブルーベリー
    たくさんの健康効果が凝縮されたブルーベリー
  • たくさんの健康効果が凝縮されたブルーベリー

脳の血流が多くなり、認知力テスト成績がよくなる

   この研究をまとめたのは英エクスター大学のジョアンナ・ボウテル博士(スポーツ健康科学)らのチームだ。栄養学専門誌「Applied Physiology Nutrition and Metabolism」(電子版)の2017年3月1日号に発表した。

   同大学の3月7日付プレスリリースによると、66~77歳の健康な男女26人の協力を得て、2つのグループに分け実験した。12人がブルーベリーの濃縮ジュースを毎日30ミリリットル、12週間飲み続けた。14人がジュースに似せた同じカロリーのプラセボ(偽薬)を与えられた。濃縮ジュースは1回分が230グラムのブルーベリーのエキスを集めたもの。市販のブルーベリーは1パック約100グラムだから、約2パック強の量だ。また、30ミリリットルは大さじ2杯(ペットボトルのキャップで3杯)の量だから、相当濃縮されたジュースだ。

   ほかの果物・野菜の影響を排除し、ブルーベリーの効果を正確に調べるため、参加者は毎日の食生活の中でとる果物と野菜を全体の5分の1以下に抑えるよう求められた。その量をオーバーした参加者は対象から除外された。

   実験の前と後で、26人全員にMRI(磁気共鳴画像)などを使い、脳機能と脳血流を検査、ワーキングメモリーを中心とする認知能力のテストを行なった。ワーキングメモリーは「短期記憶」「作業記憶」などと訳される。視覚や言葉で得た情報を瞬時に記憶し、その情報を使って与えられた課題を短時間でこなす能力だ。最近、認知能力を測る基準として注目されている。たとえば、買い物リストを見せられ、買う品物と値段を覚える。次に財布の中身を知らされ、手持ちの金額を覚える。最後にスーパーの商品棚を見せられ、何と何が買えるかを数秒の間に判断する、といった問題が次々と出される。

   その結果、次のことがわかった。

(1)ブルーベリーを飲んだ人は、飲まなかった人より、認知能力テストの成績が実験前より明らかに向上していた。
(2)ブルーベリーを飲んだ人は、飲まなかった人より、脳の血流が多くなり、脳の意思決定や言語機能をつかさどる分野が活性化していた。

   ボウテル博士は、プレスリリースの中でこう語っている。

「認知能力は年とともに衰えていきます。これまでの研究では、野菜をたくさんとる食生活が認知機能の維持に役立つとされてきました。私たちの研究で、ブルーベリーのエキスを12週間とるだけで、脳が活性化され、ワーキングメモリーがよくなることが明らかになりました。これは、ブルーベリーに含まれている色素の強い抗酸化力と脳の炎症を抑える力によるものです」

   つまり、ブルーベリーのエキスは、高齢者の脳には多くの野菜を合わせた分と匹敵する効果が期待できるというわけだ。

性生活が豊かに、EDになるリスクが14%減

   高齢者の健康効果がほかにもある。ブルーベリーを週に2回食べ続けると、高齢者の呼吸機能の低下を防ぐ効果があることが、米ハーバード大学が米栄養学誌「AJCN」の2016年2月号に発表した研究で明らかになった。

   研究チームは、平均年齢60歳前後の退役軍人839人を対象に、ブルーベリーの摂取量と呼吸機能の関連を調べた。退役軍人を選んだのは、定期的な健康検査で肺活量などの呼吸機能のチェックを受けるからだ。その結果、1週間に2食以上ブルーベリー類を食べた人は、ほとんど食べなかった人に比べ、肺活量の低下のスピードが20~30%以上緩やかになった。

   また、男性にとってうれしい効果もある。「みなぎる活力!」のよみがえりだ。ブルーベリーや柑橘類に含まれるフラボノイド(色素)が男性の機能回復に役立つという研究が、米の医学誌「AJCN」(電子版)の2016年1月13日号に発表された。研究をまとめたのは英イースト・アングリア大学のイーデン・キャシディー教授らのチームだ。

   約2万5000人の中高年男性を対象に、フラボノイドの摂取量と性生活の関連を調べた。聞き取り調査が4年ごとに行なわれ、「セックスをするのに十分な勃起力があるか」「それを維持できているか」などを回答してもらい、フラボノイドの豊富な果物類の摂取量と比較した。その結果、フラボノイドの摂取量の多い人は、少ない人に比べ、性生活が豊かでED(勃起障害)になるリスクが14%低かった。

   キャシディー教授は論文要旨の中で、「量でいえば週に2~3皿分、ブルーベリーやミカンなどフラボノイドの多い食品を食べるだけで、EDのリスクが10%減ります。この恩恵は70歳まで有効です」と語っている。

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