スマニューとUUUMが組む「動画をあえて記事化」の勝算 生成AIでYouTubeを「読む」、タイパ重視の層を取り込む新戦略
ニュースアプリ大手のスマートニュースが、YouTuberマネジメント最大手のUUUMと手を組み、メディアの常識を覆す新たな試みに乗り出した。両社は業務提携に向けた基本合意を締結し、クリエイターのYouTube動画を生成AIで「記事化」して配信する取り組みを開始する。

動画全盛の時代にあえて「テキスト回帰」とも取れるこの戦略の背景には、現代のコンテンツ消費における「動画疲れ」と「タイパ(タイムパフォーマンス)志向」がある。 YouTube上には膨大なコンテンツが溢れているが、サムネイルだけでは中身が判断できず、数分から数十分の時間を投じることに心理的なハードルを感じるユーザーは少なくない。そこでスマートニュースは、生成AIを用いて動画の内容や見どころを解析し、短時間で要点を把握できるテキスト記事として再編集する技術を導入した。これにより、ユーザーは移動中や隙間時間に動画を「読む」ことが可能となり、興味を持った箇所だけを動画で確認するといった効率的な情報摂取が実現する。
対象となるのは、まず「釣りよかでしょう。」や「UUUM GOLF」といった趣味性の高い人気チャンネルだ。先行テストでは、動画紹介記事が通常のニュース記事と同等以上の閲覧数を記録し、記事を経由して元動画の視聴につながる動きも確認されたという。 UUUM側にとっても、YouTubeのアルゴリズムに依存せず、普段動画プラットフォームを訪れない層へコンテンツを届ける新たな導線となる。また、両社は今後、広告領域での協業も視野に入れており、記事化された動画コンテンツを軸にした新たな広告商品の開発も進める方針だ。
「良質な情報を届ける」を掲げるニュースプラットフォームと、エンタメの最前線を走るインフルエンサー企業。AIを介在させたこの異色のタッグは、可処分時間の奪い合いが激化するアテンション・エコノミーにおいて、動画とテキストの境界線を溶かす新たなビジネスモデルとなる可能性がある。