365日映画コラム

「明るい瞳」パステルカラーの椅子を運ぶシーンが美しい

2007/9/ 1 18:10

   おとぎ話のような映画だ。主人公は子供がそのまま大人になったような若い女性で、周囲とうまくコミュニケーションが取れず悩みを抱いている。彼女の頭の中の情緒や思考を描き出す。一風変わっているが、最近のフランス映画の中では出色の作品だ。

(c)2005 THEUS PRODUCTIONS-FRANCE 2 CINEMA
(c)2005 THEUS PRODUCTIONS-FRANCE 2 CINEMA

   フランスの小さな村。主人公ファニー(ナタリー・ブトゥフ)は兄夫婦と同居しているが居心地が悪い。兄ガブリエル(マルク・チッティ)は学校の先生で妻のセシル(ジュディット・レミー)と仲良く暮している。だがファニーが突拍子も無い行動に出るので夫妻も扱いかねている。兄は出来の悪いファニーを愛しているが、セシルはファニーに冷たい。ある日ファニーはセシルの浮気現場を見てしまう。それを言わない為の苦労は大変だ。ファニーは好きだったお父さんの葬式にも出ていない。ドイツの何処かに母ではない人と一緒にお墓に入っていると聞く。だからセシルと揉めた日、家を飛び出し車でドイツに向かう。ドイツの何処かにある父親の墓参りをしたいのだ。

   ファニーは名前の通りちょっとおかしい。ピアノを弾くにしても埃除けカバーの布の中に頭を突っ込み一生懸命に弾く。森の中で木こりのドイツ人オスカー(ラルス・ルドルフ)と出会うのも笑えるシーンだ。言葉が通じずファニーは英語で喋ってみる(フランス人が英語で会話しようとするのも愉快)。父のお墓は何処か?と彼に聞いても通じないから、先ず自分の首を絞めて倒れ、やおら起き上がると土を掘るマネ、中に埋める、十字架を描く、それらを懸命にやる。オスカーも笑わず真剣に理解しようとする。情緒不安定で、愉快に笑っていたのに急に泣き出し森へ駆け込む。そんなファニーを会ったばかりのオスカーは優しく受け入れる。

   ドイツへドライブの途中、足の悪い人が椅子を運ぶのを手伝うシーンも良い。沢山の色とりどりの椅子を上手く組み合わせて運ぶ場面では、背景のくすんだ壁にパステルカラーの椅子が映えてキレイだ。ファニーのナタリー・ブトゥが上手い。子供っぽい大人の女を演じる。余り喋らないが、その沈黙のコミュニケーションで人と人の距離を縮めることが出来る。へんてこな映画だがほのぼのした暖かさが伝わる。

   2005年の作品。監督・脚本は当時28歳のジェローム・ボネル。これからの彼の映画が楽しみだ。

恵介
オススメ度: ★★★★☆
明るい瞳(LES YEUX CLAIRS)
2005年フランス映画、アステア配給、1時間27分、2007年9月1日公開
監督・脚本:ジェローム・ボネル
出演:ナタリー・ブトゥフ / マルク・チッティ / ジュディット・レミー
公式サイト:http://astaire.co.jp/akaruihitomi/
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