「椿三十郎」偉大な黒澤作品に真っ向勝負! よくやった森田監督

2007/11/26      twitterでつぶやく このエントリーを含むはてなブックマーク はてなRSSに追加 この記事をBuzzurlにブックマークする この記事をクリップ! Yahoo!ブックマークに登録 newsing it!   コメント(4)   印刷

   ある城下町の薄暗い社殿で九人の若侍が密議をこらしている。上役たちの汚職を暴こうと城代家老睦田(藤田まこと)に若侍の代表井坂(松山ケンイチ)が、汚職粛清の意見書をさし出したが取り合ってくれない。では、と大目付菊井(西岡徳馬)に話したら分かってくれた。その上仲間と会おうと言われこの社殿に集ったのだ。そこへ突然よれよれの紋付袴の浪人(織田裕二)が現れ「お前たちは甘い!城代家老が本物で、大目付の菊井が黒幕だ」と言う。言葉通り、社殿は大目付輩下の者によって取りまかれていた。青くなった若侍たち9人を床下へ隠し、その浪人は、取り囲む侍を1人で斬り倒し急場を救う。敵方の用心棒、室戸半兵衛(豊川悦司)は、浪人の腕に感服する。成り行きに途方に暮れる若待たちを見た浪人は力を貸すことにする。既に城代家老は屋敷から拉致され、浪人は監禁されていた夫人(中村玉緒)と娘の千鳥(鈴木杏)を若侍の1人寺田(林剛史)の家にかくまう。黒藤の家は隣で、その屋敷は別名を椿屋敷と言われるほど、椿の花が咲き誇っている。

(C)2007「椿三十郎」製作委員会
(C)2007「椿三十郎」製作委員会

   1962年公開の黒澤明監督の「椿三十郎」にストーリどころかセリフの一つ一つまでソックリ。それもその筈、脚本は黒澤の他に、菊島隆三、小国英雄ともう鬼籍の人たちばかり、つまりオリジナルそのままだ。映画は80%脚本に負う。だから、監督が森田芳光に代わっても映画は大変に面白い。演技は監督の演出による。ガッツポーズや、互いの剣を奪い合い斬る、などのアイディアは監督のものだ。そんな意味で黒澤に及ばぬまでも森田はテンポを掴み、動きに現代風な軽さを取り入れて改良している。

   織田裕二は三船敏郎に敵うべくもないが、三十郎の、のほほんとしながらも頭の回転の速い浪人の味は出している。豊川悦司は仲代達矢に比較すると剃刀のような鋭さや思い通りに運ばない苛立ちの演技は落ちる。松山ケンイチの若侍は未熟で加山雄三とやはり格が違う。音楽に驚く。そのまま佐藤勝の曲を使ったのではないかと思うほど、大島ミチルの音楽は黒澤映画から抜け出して来たようにフルオーケストラを使って迫力がある。メロディではなく雰囲気、ムード、曲想がだ。

   久しぶりに堪能出来る日本映画。森田芳光の演出をTVディレクター上がりの監督は見習って欲しい。細部にまで演出意図が行渡っている画面を。出演者に勝手な動きをさせず癖を抑えハーモニーの取れた演出を。映画とはこう言うものなのです。

恵介
オススメ度: ★★★★★
「椿三十郎」
2007年、日本映画、東宝配給、1時間59分、12月1日公開
監督:森田芳光
出演:織田裕二/豊川悦司/松山ケンイチ
公式サイト:http://www.tsubaki-sanjuro.jp/index.html

椿三十郎
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