南田・長門の「老老介護」 その共感と違和感

2008/11/ 7      このエントリーを含むはてなブックマーク はてなRSSに追加 この記事をBuzzurlにブックマークする この記事をクリップ! Yahoo!ブックマークに登録 newsing it!     印刷

「報道発ドキュメンタリ宣言」(テレビ朝日) 2008年11月3日 19時~

   夜7時台にドキュメンタリーを始めた勇気はあっぱれ。キャスターは長野智子で、内容は既に取材済みのVTRである。今回は長門裕之・南田洋子夫妻の介護の毎日が描かれる。南田が女優を引退したのはセリフを覚えられなくなったから。若い頃、自分の父親の介護を妻に押し付けて、好き放題の生活をしてきた長門は、贖罪の気持ちもあり、認知症のおそれのある南田を献身的に看病している。
   昼間はマネジャーの女性も来るし、お手伝いさんも来ている長門家はまだまだ恵まれているわけで、老老介護で死ぬか生きるか共倒れの毎日を生きている人たちには、とても参考にはならない。それでも、夜間には、長門が馴れない手つきで南田のために夜食を作り、おしっこに連れてゆき、病院に行こうとしない妻に頭を悩ませている姿は、同病の人たちの共感を呼ぶだろう。
   最初の方で長門からスタッフに、「自分たちのありのままを記録してもらいたい」という申し出があった様子が撮られている。一見悲惨な老醜を晒す心理を普通の人間は理解しにくい。人前で演じる職業の俳優にとっては、いかなる姿でも「写される」ことが、彼らのレゾン デートルであるのだろうか。もう既に自意識が欠落している南田洋子にとって、元女優の老いさらばえた姿が、かように無残に映されていることは、果たして幸せなことなのか疑問である。
   作り手はこれには何も答えないのである。

(黄蘭)

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