「女・スパイ川島芳子」ドラマ 「魂の流浪」に共感できたか

2008/12/11      twitterでつぶやく このエントリーを含むはてなブックマーク はてなRSSに追加 この記事をBuzzurlにブックマークする この記事をクリップ! Yahoo!ブックマークに登録 newsing it!     印刷

「男装の麗人・川島芳子の生涯」(テレビ朝日) 2008年12月6日 21時~

   第二次大戦前夜から戦後にかけて、「東洋のマタハリ」と呼ばれた女スパイ・川島芳子の生涯の物語。生まれは清朝の王族でありながら、日本人川島浪速(平幹二朗・怪演)の養女になり、養父に犯されたことを契機に男装して日中間を泳ぐ。紫禁城まで使った壮大なスケールで、ディテールの積み重ね方やロケの多用はそれなりに見ごたえはあった。ただし、表面的にだが。
   これは原作(村松友視)の筆力の物足りなさ故だろうが、肝心の芳子の内面は正確には伝わってこない。何故男装なのか、何故ハッタリ屋的言辞を弄したのか、最後に「私は何者?」と問う真意も明確でない。作家・加賀美正一(中村雅俊)による聞き書きの体裁をとったために、隔靴掻痒、芳子の魂の流浪には共感できない。鋭い女なのか、はたまた只のバカ女なのかさえ判然としない有様だ。
   実際の川島芳子を筆者は決して「麗人」でも「美人」でもないと思うが、若い頃を黒木メイサ、晩年を真矢みきという両美人が演じる違和感には目を瞑るとして、はっきり言ってこの2人、余りに顔の骨格が違い過ぎないか。黒木はしゃくれた顔、真矢は反対の中高い顔、もう少しタイプの似ている女優を選ぶべきだった。
   この時代の大スターたる満映の甘粕正彦や愛新覚羅溥儀、李香蘭など絢爛たる人物群のシーンが短くて物足りなかったが、この時代そのものの「血湧き肉踊る」面白さに免じて星ひとつ進ぜよう。

(黄蘭)

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