エイガ探偵団

「一番大切なもの見えてますか?」 考えさせられるなあ(ブラインドネス)

2008/12/13 09:19
(C)2008 Rhombus Media/O2 Filmes/Bee Vine Pictures
(C)2008 Rhombus Media/O2 Filmes/Bee Vine Pictures

   <ブラインドネス>あるとき突然、1人の日本人男性が運転中に目の前が真っ白になったと言い、視力を失ってしまう。それからというもの、この男性に関わった人たちから徐々に失明者が続出し、この謎の病はあっという間に各地で蔓延していく。

   はじめに視力を失った者たちは政府によりある施設へと隔離されるが、その密閉された空間での状況や出来事は悲惨というほかない。欲に支配され、徐々に理性を失っていく者はとても醜いが、過酷な状況のなかで生きていくには、人としてのモラルなど必要ないということを見せつけられる。

   あるグループは、だんだんと少なくなっていく食料を全て独占し、分けて欲しければ金品や女を出せと要求する。犠牲となる女性たちは前の人の肩につかまり、一列になって一歩一歩ゆっくりと進んでいく。そのシルエットはまるで古代遺跡の壁画に描かれている奴隷たちのようだ。生きていくためとはいえ、女性が道具として扱われるのは非常に腹立たしい。しかし小さな施設のなかでさえ、弱肉強食の世界が出来上がってしまうのである。

   悲惨な状況のなかでも希望はあった。それは主人公の女性だけが見えているということ。だが逆に彼女は自分だけ見えていることに苦しむ。夫の裏切りを目撃してしまい、見たくない光景でも見えてしまう過酷な毎日。圧倒的に優位な立場にあるはずなのに、見えることによってますます追い詰められていく様子はとても切ない。見えていたってしょうがないときはあるのだ。

   人間の薄汚い内面と、見えなくなったらどうなるか、という恐怖はとてもインパクトがある。しかし施設を脱出できてからの後半、今までの悲惨な出来事を洗い流すかのような雨のシーンがとても感動的で印象に残る。絶望感が漂っている街に降り注ぐ雨を肌で感じるように人々は天を仰ぎ、これから事態が良くなることを示唆しているようである。そして観客に「今、あなたは一番大切なものが見えていますか?」と問うように物語は終わる。今見えているものだけが全てではないとこの映画は教えてくれた。

ジャナ専 巴麻衣

   オススメ度:☆☆☆☆


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通称ジャナ専。東京都豊島区高田にあるマスコミの専門学校。1974年の開校以来、マスコミ各界へ多くの人材を供給し続けている。

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