2024年 3月 29日 (金)

新高齢者医療制度が呼び起こす 健康保険「負のスパイラル」

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   タイトルは「揺らぐ」となっているが、現状はそんなものではないようだ。健康保険組合の解散が今(2009)年すでに14、来(4)月には8つが見込まれるという。理由はいわずと知れた新高齢者医療制度の導入だ。国民皆保険そのものが危うい。

   東京の大手タクシー会社。従業員・家族1万2000人の健保組合が解散の危機に直面していた。保険料収入27億円のうち高齢者拠出が、昨年は9億9000万円だったのが、新制度で13億5000万円にはね上がった。

「なんでそんなに負担しなくてはならないのか」

   組合はやむをえず、積立金2億6000万円全額をつぎ込んだが足りない。そこで、保険料率(月収の8.2%)の0.1%アップを考えた。これで3000万円の収入増になるが、その半額は会社の負担になる。しかしこの不況下で会社も苦しい。回答はNOだった。いま解散が視野に入っている。

   あきらめて解散したのが、運送業者500社でつくる埼玉県トラック健康保険組合だ。高齢者拠出金が5億7000万円もふえ、どうにもならなくなった。3月31日で解散。4月からは「協会けんぽ」に移行する。

   これまでのような独自の健康診断や保養所の利用など、手厚い保証や安心感はなくなる。「なんで、われわれがそんなに負担しなくてはならないのか。不公平ではないか」と経営者の1人はいう。

   現行健康保険制度の中身は3つに分かれる。

   ◇ 健保組合(大手企業・同業団体)3000万人 独自の運営
   ◇ 協会けんぽ(中小企業)3600万人 13%の国庫負担
   ◇ 国保(自営業、定年退職者)4000万人 半額国庫負担

   全体として健保と協会が国保を助ける仕組みで、これまで健保が2000億円、協会が5000億円を高齢者拠出してきた。それが新制度で一気に1兆円づつ上乗せになったのだ。この結果、1500ある健保組合のうち、9割が赤字になった。

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