2024年 4月 19日 (金)

抗うつ薬と「制御不能」のいらつき 「人間関係が病気を救う」

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   <テレビウォッチ>抗うつ薬「SSRI」の薬効は折り紙付きだ。現在100万人が服用しているといわれ、「これがなかったら、私の人生はどうなっていたか」という声もある。だが、一方で服用者が他人に暴力を振るう事例が出ているという。いったいどういうことか。

   この10年間に268件。全体では数は少ないのだが、なかには刑事事件になったものもあって、うち4件について厚労省は先(5)月、SSRIの影響を認定して、製薬会社に「他人への攻撃性を誘発する可能性」を表示するよう求めた。

処方上の注意守らない医師も

   最初に認定された事例は、10年前の全日空機ハイジャック事件である。20代の男が機長を殺害して旅客機を操縦した事件で、SSRIを服用して心神耗弱状態にあったとされた。

   また、札幌の20代の女性は4年前、包丁をもってコンビニから20万円を奪って強盗容疑で逮捕された。SSRI服用後「普通のいらつきと全く違う。制御不能でまったく別の人間になった」という。裁判で精神障害を疑われ、鑑定の結果、SSRIの影響があったと判断された。

   40代の男性は、服用2時間後に、小言を言った妻を工具でなぐり、頭に全治1か月、20針の大けがをさせたが、「ほとんど覚えていない。理由がわからない。自分が自分でない状態だった」という。

   これらを招いた原因はそれぞれ異なる。コンビニ強盗の女性の場合は、医師の処方の誤りだった。うつ病と診断されてSSRIをはじめ日に2錠、6週間後に3錠、3か月後一時中断してのち、4錠にした2週間後に事件を起こした。3錠の段階でイライラがつのり、奇声を発したりカベを蹴ったりして、家族も恐れるほどだった。

   が、医師は症状が改善しないために、安易に量をふやしていた。とくに、副作用の懸念から「急に中断しないように」とある、処方上の重要な注意を守っていなかった。

   脳と薬のメカニズムはよくわかっていない。しかしアメリカでは、コロンバイン高校での銃乱射事件などいくつかの事件で、SSRI服用があったことから、今回厚労省が求めた「攻撃性」の注意書きが、すでに5年前から義務づけられている。

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