オバマの「チェンジ」 進んでる?頓挫した?
<テレビウォッチ>就任後初めて、11月13日日本を訪れるオバマ大統領。『チェンジ』への圧倒的支持を得て当選し、ちょうど1年が経過した。しかし今、深刻な試練に直面している。
そのひとつが、公的医療保険制度の導入を柱とする医療保険改革。もうひとつは、イラク撤退に代わって対テロ主戦場と位置付けたアフガニスタン問題だ。このふたつが今、国論を2分しているのだ。
医療保険改革
番組は、米タイム誌のマーク・ハルペリン記者への中継インタビューを交え、『チェンジ』の中身を巡り新たな試練に立たされたオバマ政権の弱点を解き明かすとともに、政権の行方を探った。
オバマ旋風を巻き起こし大統領に就任したこの1年、米経済は未曽有の金融危機への対応で、財政赤字は史上初めて1兆ドルを突破し、今や失業率も10%を超える雲行き。その中で公約の医療保険改革が火を噴いた。
公的医療保険が整備されていないアメリカでは民間の医療保険に加入しなければならないが、保険料は年間20%の勢いで高騰し続けている。
所得の少ない人は加入できないわけで、6人のうち1人に当たる4600万人の無保険者を救済するために公的医療保険制度の導入を政権の目玉に掲げた。
この公約は、クリントン政権時代も導入を目指したが、保険業界の激しい反対キャンペーンにあい失敗し大きな傷跡を残した。そして今回も同じように保険業界の激しい反対キャンペーンが展開されている。
反対の最大の根拠は財政負担の増大。公的医療保険制度を柱とする改革の費用は90兆円で、国民の税負担が増えると批判する。この結果、弱者救済に賛成してきた支持者まで導入反対に回る人が増えているという。
今11月7日、議会下院で、この公的医療保険制度を盛り込んだ改革案の採決が行われた。220対215と、わずか5票差で可決された。
しかし、上院で可決されるには6割の賛成が必要で、反対派の多い共和党との妥協なくして可決は難しいとの見方が出ている。
番組では触れなかったが、無保険者の多くは黒人の低所得層。反対派の根底には黒人蔑視の思想が根強くあると指摘する説もある。