2024年 3月 29日 (金)

武士の魂でハリウッドへ 迫真VFX映像のテクと根性

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<テレビウォッチ>高層ビルが建ち並び、ヤシの木が所々に植えられた、いつもと変わらぬロサンゼルス大通り。ところが突如、道路が盛り上がり、裂けた大地に車やヤシの木、高層ビルが飲み込まれていく。

   話題のハリウッド映画『2012』が今週末(2009年11月21日)、公開される。マヤ文明が予言したという『2012年地球滅亡』の危機を描いた大作だ。

アカデミー賞受賞

   総製作費260億円。1500カットに、起きるはずのない『現実』を実際に起きているようにリアルに描くVFX(ヴィジュアル・エフェクト=視覚効果)が駆使されている。

   番組は、そのVFX技術の制作責任者に抜擢された若い日本人男性を取り上げた。

   番組で紹介された男性の足跡は、就職難、派遣切り等々で悶々としている若い人も背筋がピンと伸び、ヤル気が出てきそうな内容といっていい。

   映像クリエーター、坂口亮(31)。昨年行われた80回アカデミー賞授賞式でVFX科学技術賞を受賞し、この分野で世界の頂点に立った。

   坂口がVFXに出会ったのは高校時代という。VFXを使った映画を見て、リアルな映像に感動。「大学卒業後はあんな仕事をやりたい」と夢が膨らんだ。

   もっともこの分野に必要な数学や物理が苦手で、文系の大学に進んだ。が、夢を捨てきれず3年生の時、思い切って休学し映像の専門学校に。

   そこで渡米のチャンスを掴み、ロスへ。『2012』のVFX映像を担当することになる15社のうちの1社で、業界トップクラスの『デジタルドメイン社』に入社した。

   今から9年前のことだが、当初は雑用ばかり。だが、坂口はある目標を持っていた。

   通勤途中に立ち寄るロスの海岸で海を見るのが日課になっていた。打ち寄せる波を見ながら「水の映像をつくりたい」が目標だった。

   当時ハリウッドは、VFXで水を描くのがもっとも難しい技術のひとつとされていた。

   だが、水の動きを描くには流体力学の数式を理解する必要がある。そこで日本から数学、物理の中学・高校教科書を取り寄せ、基礎からのやり直し。

   休日返上の3年間を支えた精神力は高校時代に打ち込んだ柔道だったという。本人は「武士の魂ですかね~」と笑う。

   こうして入社5年目、大きなチャンスが訪れた。大作『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』の海のVFX映像の制作スタッフに抜擢されたのだ。

   指示されたのは「海の果てに存在するという巨大な滝を作ること」。

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