最終回は拡大版の70分。「坂の上の雲」のお蔭で、大団円が年末でない異例の大河ドラマなのだが、まあ、1年間ご苦労様でしたと書くのは吝かでない。しかし、評価は大絶賛とは参らない。全編通じてでも、この最終回単発でも、筆者にはワクワクする面白さは感じられなかった。義務感では見たが、ドラマに没入は出来なかった。
理由の1つは直江兼続(妻夫木聡)の力不足。妻夫木は清々しいイケメン若者ではあるが、毀誉褒貶渦巻く中藩の家老職を演じるのには物足りなかった。特に歳を取ってから、ヒゲに白髪を混ぜても人生の垢が滲み出ない、3人もの実子に先立たれた悲哀が毛ほども伝わってこない。手が若すぎるのを演出がカバーできなかったのもけしからん。お船(常盤貴子)には枯れた感じが出ていたのに。
秀吉(笹野高史)や家康(松方弘樹)、初めの頃の謙信(阿部寛)、景勝(北村一輝)、子役の清史郎クンらの存在感と戦国通史のお蔭で1年間もったようなもの、筆者には最後まで【義】の何たるかもピンとこなかった。つまり、絢爛豪華な衣装やセットで着飾っても、ほぼ一般的には無名に近かった兼続なる武将を、忘れがたい存在として人々の心に植えつけるまでには至らなかったと断じる。
歴女ばやりの今、イケメン若手俳優を主役にもってきて女の子にキャアキャア言わせ、視聴率が取れれば万々歳という制作態度では何も残らない。来年の「龍馬伝」がそうならないことを切に祈る。
(黄蘭)

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