私生活が幸せ一杯の市川海老蔵、初の現代劇主演だそうだ。冤罪を覆してマスコミの寵児になった若き弁護士・大塚欽也に扮する。話は松本清張作品の中でも特に有名なものなので詳しくは書かない。冤罪と信じる兄の弁護を断られた柳田桐子(相武紗季)が、1年後に起きた大塚の愛人・径子(戸田菜穂)の冤罪の証人になることを拒み、大塚に復讐を遂げる物語である。
放送直前に海老蔵が番宣したり、重鎮・重光亨彦演出だったり、力を入れて作ったのは理解できる。また、上司に中井貴一を起用したり、大塚が桐子に懇願する場面では、海老蔵、土下座して泥まみれになりながらの熱演と評価すべき点は多々あった。だが……。
清張作品のドラマ化で筆者が毎度指摘していることだが、原作の昭和の時代から、現代に移行した時点で無理が出ている。このドラマでは大塚が極貧の育ちで筑豊の炭住に住んでいたというのがそもそもヘン。エネルギー転換で炭鉱が消えて何年になるというのだ。パソコンや携帯の現代に、桐子が事務所にいきなりアポもとらずに押しかけてくるという設定もヘン。彼女はその後の展開で非常に頭がいい女の子であるとわかるのにだ。局が総力を挙げて作るスペシャルならば、いくら金がかかっても原作の時代設定のままやるべきである。それと、全く駄目だったのが劇伴。レクイエムをやたらに流して感情を煽る。新進作曲家にオリジナル曲を作らせ給え。
(黄蘭)

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