2024年 3月 29日 (金)

ラジオ「大震災特別番組」に滂沱の涙…PUSHIM「I Pray」

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   あれは日曜深夜だったろうか。東北関東大震災の影響で節電を呼び掛けるようになり、わが家では室内の電気を消してコートを着こみながら、テレビを消してラジオを聞いていた。東京FMは特別番組として、夕方から全国エリアフリーになったラジコの影響もあり、全国からのメッセージとリクエストを長時間編成で放送していた。番組では、局アナの男性が落ち着いた声でリスナーからのメッセージとリクエスト曲を淡々と読み上げていく。

   「試験勉強をしています。何も自分にはできなくて、勉強をしている場合なんでしょうか。自分の不甲斐なさに腹が立ちます」という高校生のメッセージを紹介していた。若い世代の協力やボランティアなどの報道もチラチラあったなかで、被災地以外の高校生は、たしかに何もできない苛立ちを感じているだろうなと思いながらも聞いていたところ、しばらくしてから高校生のメッセージに対して別のリスナーから返答があった。

「高校生の方へ。今は勉強することに集中してください。その勉強した成果を、将来、人を救うこと、人のためになることに生かして下さい。今はわれわれ大人に頼ってくれませんか。あなたたちは将来の日本のために一生懸命勉強してください。そうすることが日本の未来を築くことになりますよ」

「あの日々の絶望を、小さな心でまた一歩踏み出して」

   それを聞いて、思わず心が熱くなった。それがリスナーからの最後のメッセージだったかは忘れてしまったが、アナウンサーが番組最後にこう言った。

「こんな非常時に音楽を流したり、ラジオを放送することは節電にならないというお声も頂戴しています。でも、メッセージを紹介したり、音楽で希望を持てる、一人じゃないことを感じて頂ければ幸いです」

   そして、「最後にこの曲で締めくくりたいと思います。PUSHIMで『I Pray』」とだけ言って音楽が流れた。彼の声は間違いなく震えていた。流れはじめたこの曲は、かれこれ5年ほど前の曲なのだが、レゲエの心地よいリズムとメッセージ性の強い歌詞に、聞いているうちに涙が溢れてきた。暗くて寒い室内にPUSHIMの太くてハスキーな声が響く。「あの日々の絶望を、小さな心でまた一歩踏み出して歩いていく」という詩に、目の奥に焼きついた被災地の状況とオーバーラップして涙が止まらない。

   今回、ラジオは格段にメディアとしての効力を発揮した。安否情報以外の放送をラジオはするべきではないという意見もあるだろう。だが、音楽とメッセージだけで確実に救われる心はあるはずだ。

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