2024年 4月 20日 (土)

イスラエル「アラブの春」瀬踏み―我々は海に浮かぶ孤島でしかない

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   「激動 中東はどこへ」シリーズの第2夜は「孤立深めるイスラエル」である。中東の独裁者たちが続々と倒れたアラブの春は「イスラエル」にどう影響し、イスラエルはどこへ行くのか。

   国谷裕子キャスターがエルサレムの旧市街、岩のドームを背景に画面に登場して曰く。「この旧市街をはじめ、イスラエルはヨルダン川西岸、ガザ地区など、パレスティナの土地を長年占領し、いまも入植地を拡大しています」

   それがパレスティナとのあつれきを生み、中東和平問題の根源である――。この認識はごく妥当に思える。第三者の多くから見て、「パレスティナ問題」なるもの、そもそも多分に「イスラエル問題」である。

「パレスチナ占領は武力闘争への自衛」(ベレス大統領)

   だが当事者の片方はそう思っていない。同国のシモン・ペレス大統領とのインタビューで、国谷キャスターが「アラブの春」のイスラエルへの影響について聞くと、大統領は「イスラエルはアラブという海に浮かぶ島のようなものだ」と言う。

   島は海に影響を与えない。海が島に影響を与える。「海が暖かく穏やかであるように望む」。アラブ世界の安定を望むと言えば聞こえがいいが、どうにも他人事、受動的に聞こえる発言でもあった。

   国谷氏は、気のせいかいつもよりにこやかであった。御歳88歳、ノーベル平和賞も受賞した大政治家に、臆することなく単刀直入に聞いた。「海を穏やかにしたいのなら、入植を停止し、パレスチナの占領をやめるべき時期が来ていると思いませんか?」

   「島と海」のたとえのおかしいのは、イスラエルは自らの行動によって、アラブの孤島にもなれば、逆に海を穏やかにすることもできる点であろう。

   ペレス大統領は顔色を変え――ないまでも、鼻白んだ感じであった。フェンス設置や入植地建設は、パレスチナの武力闘争に対してやむを得ず行われたものであり、新しい入植地の建設はやめているが、既存の入植地の人口が増えれば、対応するしかない――。そんな独自の主張をしては、まるで臆面もなさそうであった。

   *NHKクローズアップ現代(2011年12月6日放送「激動 中東はどこへ(2)孤立深めるイスラエル」)

文・ボンド柳生

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