2024年 4月 25日 (木)

漫画で伝えたい読みたい「福島原発事故の本当」避難経験や作業員体験を描こう!

初めての方ご注目!プロミスなら最短1時間融資でお急ぎでも大丈夫!

   小学館の漫画誌「ビックコミックスピリッツ」の連載漫画「美味しんぼ」は福島原発事故による健康への影響を巡る表現が大きな波紋を呼んだが、このほかにも福島を描いた漫画がいま注目を集めている。福島の酪農家で働く少年の成長を描いた漫画は、人間と原子力の関わりをテーマにしていて、東京都内の大型書店ではこれらの漫画を求める人が増え品薄状態になっている。なかには、福島第一原発で作業員として働いた経験を作品で伝えようという漫画家もいる。

   キャスターの国谷裕子はこう伝える。「福島第一原子力発電所の事故で放出された大量の放射性物質が、健康にどのような被害をもたらすのか。国内的にも国際的にもとても関心が高く、デリケートな問題です。環境や食べ物は安全か。正しい情報は何か。本当のことを知りたいと思う被災者の皆さんの要求は強いものがあります。

   その時に、損なわれてはいけないのが言論・表現の自由です。漫画『美味しんぼ』では、健康への影響を巡る表現が大きな波紋を呼びました。『福島の真実』と題するシリーズで、福島第一原発を訪れた主人公が鼻血を出し、鼻血の原因を『被ばくしたから』ともしています。福島の真実編の最終回で、編集長は『取材対象者の声を取り上げないのは誤りだという作者の考え方は世に問う意義あると考えた』としています。その上で、表現の在り方についていま一度見直すと表明しています。今回の騒動で吹き出した『傷つけられた』『生活している人を配慮してほしい』という切実な声もあります。福島や原発事故を積極的に描いた漫画は少なくありません。表現者たちはこうした声とどのように向き合って創作をしているのでしょうか」

「いちえふ」発売1か月で20万部!書店では売り切れ

   原発事故後のみずからの体験を漫画にした山本おさむさんは、事故当時は福島第一原発から70キロ離れた福島県天栄村に住んでいた。事故のあと、山本さんはすぐに自主避難を思い立った。

「な、何んだこりゃあ~。爆発している。そのころから、僕という人間は2つに分裂しました。『70キロも離れてればゼロではないにしても相当安全なんだ。ビクビクするな』と考える一方で、『直ちに影響がないなんて言い方がそもそも怪しい。騙されたあとに泣いたって遅い』と考えました」

   国谷「事故直後、山本さんはその影響をどう表現すればよいのか迷うことが多かったそうです」

   「避難先と福島を往復する中で、そこに暮らす人々の立場を大切にしていこうと決めました」と山本さんは話している。

   竜田一人さんが描いた「いちえふ」は原発作業員の日常を描いた漫画だ。福島第一原発の作業員として不定期で働いているため、顔を撮影しないことを条件に取材に応じた。「いちえふ」は発売以来1か月で20万部近くを売り上げた。ちなみに、「いちえふ」とは「1F」。東京電力内では福島第一原発をこう呼んでいる。

   国谷「竜田さんは原発事故の前、漫画だけでは生計を立てることができませんでした。事故から半年後、新たな職を探して就いたのが福島第一原発での仕事です。放射線量の高い建屋内での作業も任せられました。竜田さんは原発での作業の実態を、そこで働いた者にしか分からない視点で漫画にしました」

   漫画の中には、「ああ、鼻がかゆい」「はぁ~っ、この解放感!」「なかなか脱げない」「ゴム手の中にたまった汗が飛び散って、まさに男の汗にまみれた職場だ」といった場面が出てくる。そして、「ここをなんとかでぎるのは俺たちしかいねえ」「俺たちはここをやっつけるだけだっぺ」など、危険と隣り合わせの現場が描かれている。

   竜田さんが週刊誌で連載を続けていると、出版社に「かえって不安が募る」「政府や東電のプロパガンダ」などの批判の声も寄せられている。「いちえふ」を担当する編集者の篠原健一郎さんは「どんな批判があっても、作品のスタンスは大切にしたい」と話す。

文   ナオジン
姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中