2024年 4月 19日 (金)

<スキャナー 記憶のカケラをよむ男>
野村萬斎初めての現代もの!「残留思念」で犯罪捜査・・・現場に残された『感情』読み取る特殊能力

(C)2016「スキャナー」製作委員会
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   テレビドラマ「リーガルハイ」や映画「オールウェイズ三丁目の夕日」などで知られる古沢良太のオリジナル脚本で、狂言師・野村萬斎が初めて現代ものに挑んだ。

   残留思念と呼ばれる、物や場所に残った人の記憶や感情を読み取ることができる主人公・仙石和彦(野村萬斎)は、その特殊能力を使った芸で人気を博した元お笑い芸人である。特殊能力者ゆえに人間の汚い部分を知りすぎてしまい、いまはマンションの管理人として引きこもり生活を送っている。

   そんな折、女子高生ピアニストの亜美(杉咲花)から行方不明の音楽教師・雪江(木村文乃)を探して欲しいと依頼され、仙石の平穏な生活が乱されていく。最初は渋ったが、元相方のマイティ―丸山(宮迫博之)と事件解決に向け久々に能力を使うことになる。事件は他で起きた殺人事件と結び付き、意外な方向に進んでいく。

古沢良太脚本の「どんでん返し」気持ちよく騙された・・・

   古沢節とも言えるどんでん返しは健在で、ラスト30分で明らかになる犯人は意外だが、伏線の張り方が丁寧なので説得力がある。残留思念を読む特殊能力は、引き出していないだけで誰もが持っている能力という設定を加えることで、現実世界に引き寄せる工夫がされている。

   キャラ同士のやりとりも他の古沢作品に比べるとコミカルさを抑え、リアルな印象がある。軽快なやりとりも古沢作品の魅力の一つなので、その点は物足りなさを感じてしまった。とくに野村萬斎の存在感があのキャラクターにおさまっていない。あえて抑えたという狙いも分かるが、違和感は残る。

   とはいえ、野村萬斎・宮迫博之のコンビはまた見てみたいと思わせるし、内容的にもシリーズ化は十分期待できる。

野崎芳史

おススメ度☆☆☆

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