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「憑神」
西田敏行「貧乏神」がもだえるシーンで大笑い

【 365日映画コラム 】
07/7/ 5 コメント
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   公開後1週間が経った先週土曜日の午後、丸の内TOEIは9割方の入り、前方の席しか空いていない盛況だった。

(C)2007「憑神」製作委員会
(C)2007「憑神」製作委員会

   浅田次郎原作、降旗康男監督、木村大作カメラとくれば、名作「鉄道員(ぽっぽや)」のチームだが、主役を張る高倉健がいない。主演はぐっと若返って妻夫木聡。降旗監督は、母校松本深志高校の職員室に出入りしていたクロ犬の映画「さよならクロ」で妻夫木を見て、実力を買ったという。浅田次郎の小説はストーリーテリングだから映画に成りやすい。これまで「ラブ・レター」「天国までの百マイル」「壬生義士伝」「地下鉄(メトロ)に乗って」「椿山課長の七日間」などがあるが、これからも「オリヲン座からの招待状」と続く。

   降旗監督の時代劇は、かなり昔に「将軍家光の乱心・激突」とか言うB級作品しか思いつかないし、真面目で寡黙な監督の喜劇も覚えていない。73歳のベテラン監督の43本目の映画は、今までの流れからは異なる、江戸末期の下級武士を扱った時代劇コメディだ。

   別所彦四郎(妻夫木)は徳川将軍の影武者を務めた別所家の部屋住みの次男坊。貧乏旗本で井上家の婿養子になるが、子供が生まれると離縁され、兄左兵衛の家に居候。単なるタネ馬だったのだ。人柄が良いので蕎麦屋の親父(香川照之)や井上家の従者、小文吾(佐藤隆太)などに慕われている。同じ学問を学んだ榎本武楊が出世したのは向島の「三囲稲荷」に参拝したからだと皆に勧められるがその気は無い。ところが、たまたま酔って転んだ先の葦の中にみすぼらしい「三巡稲荷」がある。字が違うのには気付かず、霊験は同じだろうと参拝したのが大間違い。それから「貧乏神」「厄病神」「死神」にとりつかれることになるのだ。

   もうこれ以上悪くなることは無い、と彦四郎は平気の平左だが周りは大騒ぎ。大笑いするのは、小文吾が悪霊を追い払う呪文を唱えると、貧乏神の西田敏行が「止めて止めて!」と悶えるシーン。相変わらず西田は上手い。呪文を止めさせ、神様対処法を教えてもらう。最後の神様は可愛い女の子なのが意外。演じるのはちびまる子ちゃんの森迫永依。死神は彦四郎にぞっこん惚れてしまう。

   彦四郎は次々と出て来る神様と付き合うが、その間に彼自身も成長する。降旗監督の一連のテーマは「日本人」を描くことだという。徳川将軍慶喜が任務を放棄し、幕府を捨てて水戸に逃げた後に、彦四郎は自分が成さねばならない義務や生きる意義、名誉を考える。

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