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「ユゴ 大統領有故」
韓国映画の底力 大統領暗殺の全貌

【 365日映画コラム 】
07/12/11 コメント一覧(1)
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   1979年10月26日、韓国の朴正熙(パク・チョンヒ)大統領(当時)が暗殺された。首謀者は韓国中央情報部(KCIA)部長、金載圭(キム・ジェギュ)。翌日の新聞は「大統領は事故にあった(有故)」と報じた。タイトル「ユゴ」は有故(事故にあう)と言うことだ。

(C)2005 by MK PICTURES
(C)2005 by MK PICTURES

   映画は事件を暴露的に真実に基づいて描く。61年から18年も韓国を支配していた独裁者、朴大統領(ソン・ジェホ)は腐敗し退廃しきっている。私生活では女を侍らせやり放題。部下たちは大統領の寵愛を受けようとファミリー内で競う。秘書室長(クォン・ビョンギル)、警護室長(チョン・ウォンジュン)、キム中央情報部長(ぺク・ユンシク)の3人は大統領のお気に入り。だがキム部長は肝臓の病気と慢性的な疲労で精神的にも不安定だ。今夜も大統領の命令で、宮井洞で開かれる宴会に3人は出席する。キムは部下のチュ中央情報課長(ハン・ソッキュ)と友人のミン大佐(キム・ウンス)に「民主主義」のために大統領暗殺は必要だと説く。暗殺後に陸軍の制服組を押さえれば官僚はどうにでも動かせるという自信もある。

   宴会が始まる。朴大統領は日本の陸軍士官学校を卒業し高木正雄という日本名で帝国陸軍将校にもなった男。日本語を折に触れて喋り、重要な感想は日本語で呟く。アンチ日本の風が吹きまくる当時の韓国の元首が、日本に憧れているというのも皮肉な話だ。宴会でも新進の女性歌手が日本の演歌「北の宿」などを歌う。その間に暗殺の準備が着々と進められる。手に拳銃を持ったキムは女二人を除いて次々に発砲する。

   日本の2.26事件とイメージが重なる。政治が腐敗し出身地の農村が疲弊しているのはトップの政治家のせいで、それを取り除けば国家は立ち直ると決起した青年将校に似ている。首謀者のキムKCIA部長の意図は、腐敗した元首を倒し「民主主義」国家を目指していた。決起すれば自分の思想に同意した仲間が加わると。だが口に出しこそすれ、彼の本意がどうだったのかは分からない。部下たちもキム部長に賛同して付いて行ったのか、命令で不承不承従ったのか不明だ。一人の男だけは銃を持たされて訳が分からず、「俺の仕事は運転手だ!」と一旦は拒否している。

   監督はイム・サンス。コメディの「浮気な家族」は面白くも無かったが、歴史の裏側に迫るこの作品には凄い迫力がある。暗い画面に蠢く陰謀。キム部長の命令を受けクーデターを実行するチュ課長のハン・ソッキュが上手い。韓国映画の底力を示す作品だ。

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