2024年 4月 25日 (木)

医療業界

歴史

米国に次ぐ世界第2の市場

  日本の医薬品市場は、米国について世界第2の市場である。米国市場は05年まで年率11%強の高い成長が見込まれているのに対して、日本市場では年率2%強の低成長が続くと予想されている。日本の医薬品には、医師の診断が必要な医療用医薬品と、処方箋なしに誰でも自由に薬局で購入することができる大衆薬と呼ばれる一般用医薬品がある。このうち、医療用医薬品が、全医薬品の9割を占める。
武田薬品工業、三共、山之内製薬など大手製薬会社の多くは、医療用医薬品を中心に製造・販売しているが、大衆薬も一部で手がけている。  しかし、大衆薬は市場が比較的小さく、一般消費者への広告宣伝費用がかさむことから、収益性が低く、その多くが赤字だと見られている。
大正製薬のように大衆薬を中心に事業を展開して高い収益を上げている大手の製薬企業もあるが、大衆薬中心の製薬企業は中堅以下の会社が多くを占める。大衆薬の最大手は大正製薬で、2位はエスエス製薬である。大正製薬はドリンク剤で4割のシェア、総合感冒薬で3割弱のシェアを誇る最大手である。大衆薬の大手企業には、大正製薬のようにドリンク剤や総合感冒薬で高い実績を上げている大手が多い。

制度改革の柱は薬価改定と医薬分業

   国内の医薬品市場は90年以降、低成長が続いている。それは政府が、増大する一方の医療費の負担を抑えるために、医療制度の改革を進めているからだ。医療制度の改革に柱は、薬価改定と医薬分業の2つである。
 薬価改定とは、薬の公定価格を見直して、実勢の市場価格に近づけることを指す。これまでは、製薬会社が公定の薬価より低い価格で病院などに薬を販売し、病院はそれより割高の公定の薬価で国に診療費を請求する。その結果、その薬価と実勢価格の差額(薬価差)が病院などの利益になってきた。これは裏を返せば、保険組合や国が過剰な医療費を支払っていうことを意味する。
  国の財政赤字が大きく膨らんでいる現在、そんなムダを続けている余裕はない。 そして政府が打ち出した対策は、二つ。1.原則として2年に1度、薬価を実勢価格にできるだけ近づける改定(値下げ)を行うことと、2.薬漬けの診療を排除するために医薬分業を進めるということだ。

医療用を中心に再編の動きが活発に

全薬工業の工場でフィルム梱包される風邪薬
全薬工業の工場でフィルム梱包される風邪薬

  医薬分業とは、患者の治療と処方箋は病院に任せ、薬の販売は薬局が行うという分業化を進めようというものだ。病院経営から薬販売の利益を切り離すことで、医師は診療に徹底させて、患者への薬の過剰投与にブレーキをかけることを狙ったものだ。
 その結果、医療用医薬品を扱う国内企業を中心に、再編の動きが活発になっている。三菱東京製薬とウェルファイドは2001年10月に合併し、三菱ウェルファーマとなった。中外製薬はロシュ(スイス)の日本子会社である日本ロシュと2002年10月に合併、第一製薬は酒類・飲料業界の大手サントリーの医薬品事業を買収した。大衆薬の最大手である大正製薬は、2001年に田辺製薬との経営統合を発表したが、その後、白紙撤回する結果となった。しかし、2002年8月には富山化学工業と包括提携、2003年4月には医療用医薬品の販売を統合した。

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