化学業界
歴史
石油化学コンビナートが形成される
瀬戸内海に面する三井化学岩国大竹工場
化学業界は石油化学業界とも呼ばれている。化学製品は、石油を原料にして作られるものが多いからだ。
まず原油からナフサが作られる。このナフサを原料にして、エチレンやプロピレンなどの基礎製品が作られる。この基礎製品から、ポリエチレン、塩化ビニール、スチレンモノマーなどの誘導品が作られる。そして誘導品を加工して、自動車のバンパーや、テレビ、冷蔵庫の構造体や、住宅のパイプなどの材料となるプラスチック加工品が作られているという流れだ。
これら一連の製造工程を効率的に行うために、各種の工程を受け持つ企業が1箇所に集まって、石油化学コンビナートを形成した。そのような巨大コンビナートが、千葉県、神奈川県、三重県、岡山県、山口県、大分県など全国に散見される。
高度成長の終りとともに再編が進む
鉄鋼とともに日本の“重厚長大”産業の代表格であった化学産業だが、高度成長の終焉とともに、系列を超えた事業提携や過剰設備の統合などの再編を余儀なくされた。 たとえば三菱化成と三菱油化は、1994年10月に合併して三菱化学となった。三菱化学は東京田辺製薬と99年10月に合併した後、医薬品部門を分社して三菱東京製薬が誕生した。三井石油化学と三井東圧化学は97年10月に合併し、三井化学となった。
ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂などでも、製品分野に限定した子会社を設立するなど、事業を統合する動きが相次いだ。
95年7月には昭和電工と日本石油化学がポリエチレンとポリプロピレン事業を統合し、共同出資の日本ポリオレフィンを設立した。三井石油化学工業と宇部興産も同月にポリエチレン事業を統合して、グランドポリマーという会社を設立した。これを受けて96年5月には、三菱化学と東燃化学がポリエチレンとポリプロピレンの事業を統合した。
98年10月には三菱化学と旭化成(現・旭化成ケミカルズ)がポリスチレン事業を統合している。99年4月には、電気化学と新日鉄化学、ダイセル化学がポリスチレン事業を統合して東洋スチレンという会社を設立している。99年7月には、住友化学と三井化学がABS樹脂事業を統合した。