2024年 4月 25日 (木)

化学業界

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将来を展望するための3つのポイント

ポイント1
関税引き下げというハードル乗り越えられるか

  化学業界には従来から、2004年問題と2006年問題が控えていると言われてきた。石油化学製品の国内需要は、2000年頃から下降に転じている。そこで発生した余剰製品をアジア諸国などに輸出する形で、工場の稼働率を何とか保ってきた。しかし最近そのアジア諸国、特に中国では欧米の有力化学メーカーが生産拠点を移転しており、日本からの輸出が難しくなっている。

  それに追い討ちをかけたのが、2004年問題だ。これは、ウルグアイ・ラウンド(関税及び貿易に関する一般協定による多角的貿易交渉)の合意により、日本は石油化学製品の関税率を2004年までに段階的に引き下げることになった。2004年には欧米と同じ水準である6・5%まで引き下げることが約束された。こうした関税の引き下げ措置によって、国産品の1~2割は、輸入品にシェアを奪われるのではないかという観測が強まっていた。実際、日本メーカーと外資との競争は、折からの円高への進展ともかさなってかなりの激しさを増しているようだ。

ポイント2
日本からの輸出、続けられるか

  これに追い討ちをかけるように、2006年問題も業界関係者にとっては頭の痛い問題となっている。2006年問題とは、2005~2006年にかけて、BASFブリティッシュ・ペトロリアムなどの欧米メーカーが、中国や中東でエチレンの大型プラントを稼動させる予定で、それがもたらす需給関係の悪化が日本メーカーを価格面でも、量的な面でも直撃するのではないかと見られている。

  2005~2006年に立ち上がる能力の増加分は、エチレン供給量にして約800万㌧といわれている。これは、日本の年間生産量を軽く上回る水準である。  そうでなくても日本は国内の能力過剰部分を、海外への輸出に依存している状況だ。中国や中東での生産が予定通り立ち上がれば、日本からの輸出がそれだけ難しくなる。国内の過剰設備問題が深刻化するのは必至だ。これが2006年問題の本質である。

ポイント3
同じ領域での部分統合が主流になる可能性

  こうした事態に備えるために、化学各社は生き残りをかけた事業統合や再編へ向かう可能性が高い。 03年10月に予定されていた住友化学と三井化学との事業統合は、統合条件での折り合いが見られず、事実上の破談となった。医薬や農薬などファインケミカルに強い住友化学と基礎化学品に強い三井の組み合わせは、統合による相乗効果が大きいものと期待されたが、見送りとなったことで業界再編の動きは一時的に水を差された格好になった。最近のIT関連向け素材の出荷が好調で業績が持ち直してきたことから、不利な条件で何も事業統合する必要がないという判断が働いたためと見られる。
  しかし、海外での巨大プラントの立ち上がりは避けて通ることができない事態である。日本企業にとって過剰設備の解消、すなわち再編の流れは不可逆的と見られる。
  今後の業界再編は、流産した住友化学と三井化学の統合のような会社単位での事業統合というよりは、1990年代に見られたような同じ事業領域での部分的な統合が主流となって進む可能性が高い。

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