2024年 4月 26日 (金)

不動産業界

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現状

地価底入れ、明るさが久々に戻ってきた

東京湾岸沿いに建築中の高層建築
東京湾岸沿いに建築中の高層建築
 

   バブル経済の崩壊で、土地価格は永遠に上昇し続けるという日本特有の「土地神話」が崩壊して久しいが、さしもの地価の下落も都心部を中心に収束に向かい始めた。不動産価格は全国平均でみると依然として下落が続いているが、東京や大阪、名古屋などの都心部では地価の下げ止まりが見られる。特に東京の商業地や交通の便のよい住宅地では数年前から上昇に転じてきた地域もある。

   都心部では、目先、具体的な利用計画がないにもかかわらず、将来の値上がりを見込んで土地を買い漁る“ミニ・バブル現象”を呈している地点も、散見されるようになった。
   地価の底入れを機に、不動産各社では新たな成長戦略を探る動きが表面化してきた。
   三菱地所は、04年8月に東京駅前の丸の内1丁目再開発が完成し、営業利益ベースで1割近い上乗せが期待できるようになった。この第1期再開発の完成とともに、2008年から10年間かけて総額4500億円を投じ、丸の内地域に位置する7~8棟の賃貸ビルを建て替えるという第2期の再開発計画を明らかにした。

開発やテナント獲得の手数料で稼ぐ新戦略

   三井不動産などでは、開発に必要な資金は投資家に出してもらい、自分の会社は開発手数料やテナント獲得の手数料で稼ごうという新戦略へ、大きく方向転換を図ろうとしている。
   三井不動産、三菱地所、住友不動産東急不動産の不動産大手4社の2004年3月期の連結決算では、4社とも経常利益が増益となった。2005年3月期も4社揃い踏みで大幅な増収増益の好業績が見込まれている。各社に共通するのは、ビル賃貸事業における空室率の低下やマンション分譲戸数の拡大、不動産仲介事業の活発化、社債借り換えによる利払い費用の節減などが収益拡大の牽引車となっている点だ。

歴史

バブル崩壊後に地価が大暴落

   日本の不動産会社は巨大な借金を抱えながら経営を行ってきた。日本の地価が右肩上がりを続けてきた80年代後半のバブル期には、金融機関から大量の借金をして土地を購入し、地価が値上がりした後でその土地を処分すれば、不動産会社には大きな値上がり益が転がり込んだ。しかし90年代に入ってバブルが崩壊した後は地価が大暴落し、売れば売るほど損が膨らむ悲惨な状況となった。企業にとっては土地を売らずにずっと抱えておく方法もあったが、そうなれば今度は金利負担が重くのしかかる。

東京都と大阪府の地価変動率(前年比)

   しかも、地価の反発が期待できない状況では、土地を塩漬けにすることは、将来の売却損が広がる危険性を抱え込むことにもなった。まさに進むに進めず、退くに退けない状況だった。

時価会計の導入が値下がりを加速させる

   しかも時価会計の導入によって、企業が保有する株式や不動産は、簿価よりも時価が低くなれば、自動的に評価損を計上しなければならなくなった。これは直ちに企業業績を直撃する。そのため上場企業の中には、不動産や株式を手放す動きが強まり、それが株価や地価の値下がりをさらに加速するという悪循環を引き起こすことになった。
   こうした泥沼化した状態では、借金の返済もままならず、財務基盤の弱い中小企業や過大な借金を抱える大企業の中には倒産するところも出てきた。

将来を展望するための3つのポイント

ポイント1
都心部の地価はさらに上昇するか

JR東京駅八重洲口再開発計画: 2棟の高層ビルは07年にオープンの予定。その後それらを結ぶデッキが完成予定
JR東京駅八重洲口再開発計画: 2棟の高層ビルは07年にオープンの予定。その後それらを結ぶデッキが完成予定

   これからの不動産業界の先行きを占う第1のポイントは、都心部の地価の上昇が今後も継続するかである。
   都心部では大型の再開発事業が目白押しだ。汐留や品川、六本木での大型再開発事業は完了したが、都心部では東京駅の東側に当たる八重洲口の開発など大型の案件が控えている。国も特別措置法を設けて、税制優遇などで都市の再生を後押ししようとしている。
   このほか、郊外の一戸建て住宅を売却して都心部のマンションを購入しようとする団塊世代の都心回帰の動きが、引き続き活発だ。この世代の子供の世代に当たる団塊ジュニアは30歳代の住宅取得世代に達する。これも都心部の需要を高めることになる。
   こうした要因から都市の土地需要は、商業地、住宅地ともに引き続き堅調に推移すると思われる。

ポイント2
賃貸ビルの空室率は改善が続くか

建設工事受注高

   不動産業界には「2007年問題」という頭の痛い問題がある。団塊の世代が2007年から続々と60歳の定年年齢に達する。大量の定年者が発生する結果、オフィスへの需要が低下して空室率が急上昇し、不動産会社の収益を直撃するのではないかという懸念だ。都心では再開発事業が引き続き高水準で続くことから、需要と供給の両面からオフィス需給は緩和する可能性がある。だが、マイナスの影響が直撃するのは、交通の便が悪く、手狭な中小の賃貸ビルだ。大手の不動産会社が所有する大規模な高層ビルの空室率は、景気の持ち直しとともに一段と堅調に推移する可能性がある。

ポイント3
新商品は不動産会社の収益拡大に役立つか

   三井不動産などは、資金は外資系などの投資家に出してもらい、自分は開発手数料やテナント獲得の手数料で収益を稼ごうという戦略へ動き始めた。最近話題のREIT(不動産投信) は多くの投資家から資金を集めて不動産を購入し、そこから生じる賃料や売却益を投資家に配当するという仕組みの金融商品だ。不動産会社がこのREITの組成主体として乗り出し、新たな収益源にしようとしている。
   不動産の流動化に注目する会社も増えている。不良債権の処理の過程で売りに出された不動産に付加価値をつけて、投資家に転売するビジネスだ。次第に参入が増えて、かつてほどのうまみはなくなってきているが、今後数年は成長余地がまだまだありそうだ。
   不動産会社の収益源は、不動産関連の新商品を取り組むことで厚みを増すことになろう。

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