2019年 10月 21日 (月)

編集長からの手紙
田中角栄とホリエモン

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   ホリエモンこと堀江貴文・ライブドア社長の様子が日本のテレビ画面を賑わしている。1月16日夜から始まった東京地検による同社や堀江社長の自宅の捜索。背後に東京の新名所六本木ヒルズの高層ビルが映し出され、そこへ堀江社長が記者会見に現れる。普段のカジュアルファッション、飾らぬ語り口はいつものホリエモンだ。クイズ番組やワイドショーに出演して笑顔を振りまき、先日は修験者体験番組で温泉に気持ちよさそうに浸かっていた。彼にとっては深刻な経済事件で摘発されているのに、まるでテレビドラマの延長の様にさえ見える。

   5、60代の日本人のなかには、田中角栄元首相を重ね合わせた人がいたと思う。田中元首相は、いまや田中真紀子元外相のお父さんといったほうが分かりやすい。今、豪雪に埋まっている新潟県の寒村から東京に出て、ついに総理大臣に上り詰めた。学歴はなく、振る舞いは少々乱暴で、しかし、頭がよくて気配りの人だった。官僚出身やエスタブリッシュが支配する当時の日本の政界で異色の出世を遂げた人である。
   現在の有力政治グループである小泉首相の派閥に対抗していた。小泉氏のボスだった福田赳夫元首相(福田康夫・元官房長官の父)が代表的な存在で、こちらのほうは大蔵官僚エリートの出身。両者は「10年戦争」と呼ばれた権力争いをやっていた。
   田中氏が首相になったのが1972年。金権宰相としての批判を浴びて74年に退陣、76年には米国の航空機メーカーのロッキード社から賄賂を受けたとして逮捕されるのである。あのときも、テレビは角栄の画面であふれていた。背後には、目白の御殿が映し出された。
   さて、ホリエモンと田中角栄の共通点だが、一言でいうと大衆人気である。
   彼が逮捕される前後、新聞記者だった私は選挙区に2年間住み込んで、彼の人気の源泉と金銭感覚を取材した。なるほど、金権政治家とあだ名される通り、角栄にはお金の話が付きまとっていた。政治家としてはダーティだが、選挙民はむしろ、貧しい地域から出た彼の立身出世、蓄財を「悪くはない」と思っていたのである。
   政界と経済界との違いはあるが、ホリエモン人気もエスタブリッシュメントへの反発が底にあると思う。それに、「ホリエモンのようにお金持ちになりたい」という平和なニッポンの庶民の欲望がある。
   田中角栄の人気の亡霊は、今も時々日本社会に現れる。ホリエモンの賛否議論が、すでにネット上で暴れまわっている。

発行人(株式会社ジェイ・キャスト 代表取締役)
蜷川真夫

関連情報:蜷川真夫著「田中角栄は死なず」

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