2024年 4月 24日 (水)

「ドモホルンリンクル」 オークション詐欺に困った

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?

   廃棄処分に回した化粧品「ドモホルンリンクル」を、産廃処理会社員が無断で抜き取り、インターネットのオークションサイトで販売していた事件が2006年5月29日、明るみに出た。直接肌に付けるものだけに、万が一、中身が腐敗していれば大変、と製造元では商品の回収と返金を試みようとしたが、それは不可能だった。

ネットオークションに出品されている「ドモホルンリンクル」。製造メーカーは対策に頭を悩ませる
ネットオークションに出品されている「ドモホルンリンクル」。製造メーカーは対策に頭を悩ませる

   「ドモホルンリンクル」はテレビCMでもおなじみの化粧品だ。製造元の「再春館製薬所」(熊本市)によると、事件の顛末はこうだ。
   ネットオークションへの出品は06年1月に同社社員が気づいた。再春館製薬所はあわてて犯人捜しを始めた。誰が不正をしたのか突き止めたのは3月だった。
   製造工場(熊本県益城町)で商品を受け取り、顧客に配送している運送会社に問い合わせた結果、運送会社が破損商品を処分するために持ち込んだ産廃処理会社の元社員が勝手に出品していたことが判明。元社員は昨年9~12月に、計4回で約180個(約100万円)を売ったという。幸い、不正に売られた化粧品は品質には問題が無かった。ある意味、箱が潰れた程度で商品まで廃棄する「徹底した」顧客志向が犯人を産んだのかもしれない。産廃業者の従業員は懲戒解雇になった。

不正出品物の検索巡回サービスも始まった

再春館製薬所は、JINビジネスニュースの取材に

「品質管理を徹底し、自信を持って提供しているだけに、不正販売は全く心外だ。オークションは利用しないで欲しい」

   と、怒りを露わにした。

   しかし問題はまだあった。不正販売商品の回収と返金を試みようとしたが、 「オークション側から、販売のデータは全て消去されていると伝えられた。また、独自の調査も限界があり、不正商品だと会社に持ち込まれても、それが本当かどうか判別ができない」(同社広報)と後処理にお手上げ状態なのだ。
   しかも「ドモホルンリンクル」は、誰かの手によって現在もヤフー・オークションで売られている。それが不正に入手した品かどうかはわからないのだ。
   オークションには実際の商品だけでなく、企業の制服、社員章、社員名簿、警備会社のシール、偽ブランドなどがあらゆるものが出品されている。販売されていると知られるだけで、企業のイメージを損なうものもある。企業の総務部や、コンプライアンス部署が必死になってオークションを監視しているという。販売を事前にチェックし、販売を差し止めるためだが、出品数が膨大のためなかなか発見できない。 だから「ネットオークション不正出品物の検索巡回」サービスなるものも始まった。スワットネットワークスがやっているのは、企業内部から不正に流出した物品を1時間ごとにリストアップするシステムだ。06年5月から始めたが、同社の鷲山信夫社長は問い合わせの多さに驚いている。

「多くの企業が困っていますし、これからも不正は増加するでしょう。しかし、発見後の対応が問題なんです」
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