2024年 4月 16日 (火)

拡大をあせる 住友信託の行方

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   住友信託銀行三井住友とのグループ化を避け、他業種との関係を深めながら拡大路線を進んでいる。一方で、同じ専業信託である三井トラスト・ホールディングスとの経営統合もくすぶり続ける。メガバンクに差をつけられた住友信託はいったいどこへ行くのだろうか――。

全国銀行協会が入居する東京・丸の内の銀行会館。銀行業界に再編はあるのか
全国銀行協会が入居する東京・丸の内の銀行会館。銀行業界に再編はあるのか

    大手銀行グループの2006年3月期決算が出そろった。みずほ、三井住友、三菱東京UFJりそな、三井トラスト、住友信託の6大金融グループは、好調な株式市場とリテール部門収益の増加、不良債権処理で積んだ貸倒引当金が不要になって生じた「戻り益」を背景に、最終的な当期純利益は軒並み過去最高を記録した。
    そうしたなかで、住友信託銀行への注目度が増している。同社は、三井住友銀行とのグループ化を避け、05年秋、不動産ノンバンクのファーストクレジットを米投資会社のローンスターから買収。また、SBIホールディングスと共同でインターネット銀行の設立をぶち上げ、さらには東京・新宿に本店を置く八千代銀行の公的資金を肩代わりするなど、他業態との関係を深めるとともに、拡大路線を鮮明にしている。

三菱東京UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンクとの格差は歴然

   また、悪質な取り立てで金融庁から業務停止命令を受けたアイフルとは、中小企業向け融資を行うための会社を設立するなど業務提携を結んでいる。その一方で、専業信託のもう一社である三井トラスト・ホールディングスとの経営統合もくすぶり続ける。
住友信託の今後の戦略はなんだろう。

   3月期決算で、住友信託の本業のもうけを示す実質業務純益は前期比164億円増加の1,646億円。当期純利益は前期比32億円増加の1,000億円。3期連続で最高益を更新した。不良債権処理の戻り益などが好決算の理由であることは他のメガバンクと同様だが、新たに連結化した住信・松下フィナンシャルサービス(旧松下リース)とファーストクレジットが収益に大きく貢献した事情もある。
   もう一方の専業信託、三井トラストの実質業務純益は1,830億円(前期比81億円減)、当期純利益は1,196億円(前期比256億円増)だった。
   両社合算の当期純利益は2,196億円。この専業2社を合わせても、りそなHD(3,832億円)にとどかないのが現状で、三菱東京UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンクとの格差は歴然となった。
   住友信託の“焦り”は、その規模格差にある。同社は、都市銀行が再編で数を減らしていくなかで、かねてから「メガ信託」を標榜してきた。小渕内閣のときには、当時の日本長期信用銀行(現・新生銀行)との合併が浮上したが、消滅。長銀はその後破綻した。
   そして、UFJ信託銀行との合併騒動だ。

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