2020年 1月 30日 (木)

週刊誌人気企画 「あの人は今」もうできない?

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   元AV女優の私生活を報じた週刊誌の記事に対し、プライバシー侵害で違法とする判決が下った。「あの人は今」などと銘打って、引退後の有名人の私生活を報じるのは、週刊誌ではおなじみの特集記事だが、今後はこのような記事が週刊誌から消えるのだろうか。

   94年に引退した黒木香さんが、週刊ポスト女性セブンで近況を報じられ、プライバシーを侵害されたなどとして、発行元の小学館などに計2,200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2007年4月13日に東京地裁であった。判決では、「引退したタレントの私生活を興味本位に暴露するものに過ぎず、正当な目的があると言うことはできない」などとして、小学館側に計170万円の支払いを命じた。

「メディアの報道は、単なる興味本位ではいけない」

「興味本位に暴露したものに過ぎない」として小学館は敗訴した
「興味本位に暴露したものに過ぎない」として小学館は敗訴した

   女性セブン01年1月17日・24日合併号では、「消えたあの人大追跡」と題し、AV業界関係者の証言などを交えて現在の黒木さんの動向を紹介。週刊ポスト03年1月1日、9日合併号も、「下半身を興奮させたセクシー美女たち」と題し、黒木さんが母親と一緒にいる写真を掲載し、近況を報じている。

   「あの人は今」といった記事は週刊誌の「大黒柱」ともいえる。雑誌の売れ行きもいいという。年末年始、ゴールデンウイークなどは各誌そろって同様な特集を組む。これが消えてなくなってしまうのだろうか。

   発行元の小学館は、「対応については控訴期限までに検討を重ねたい」としたうえで、判決については「有名人の近況報道をすべて違法とした判決ではない」として、「あの人は今」といった記事すべてが違法とされたわけではないと受け止めている。つまり、今後も「あの人は今」といった記事は掲載可能だと考えているわけだ。

   たしかに、判決では「あの人が今」といった記事自体を違法としたものではなく、黒木さんの「社会的地位、活動内容、撮影の状況、撮影自体の承諾の有無、公表の場所、目的、必要性」などが考慮されたうえで、「社会生活上、受忍の限度を超えるものであって、違法」とされている。

   一方、黒木さんの代理人はJ-CASTニュースに対し、

「『あの人は今』というかたちで元有名人の動静を伝えるものは週刊誌にはよくあるが、それがプライバシー侵害と違法判決が出たことは異例で意義がある。メディアの報道は、単なる興味本位ではなく、真摯な報道目的を持って、厳密に判断されなくてはならない。黒木さんのように一般市民としての生活を願っているような場合には本人の状況を把握し、同意を得なければならないと思う」

と述べている。

「有名人の近況報道しないのは週刊誌ジャーナリズムの死」

   しかし、週刊誌の報道には、大衆の知りたいニーズに応える、悪く言えば「興味本位」がつきまとう。読者もそれを期待している面もある。週刊誌業界ではどう受け止められているのだろうか。

   週刊朝日の山口一臣編集長はJ-CASTニュースに対し、

「今回の件で、違法判決が出たからといって、有名人の近況報道をしないと言うのは週刊誌ジャーナリズムの死に値すると思う。基本的に、知りえたことを読者に伝えるというのが基本的な姿勢であり、訴訟のリスクがあっても伝えなくてはいけないときがある。そいった意味で、読者のニーズがある限り、メディアの責任は安易に放棄できない」

と語る。そして、「あの人が今」といった記事が週刊誌のおなじみの記事であると踏まえたうえで、そういった記事について次のように述べる。

「何故そういった記事が週刊誌で『古典的』な情報かといえば、大衆の興味関心があるから。しかし、現役の有名人は、ある意味でプライバシーを売り物しながら活動しているが、引退している以上、安易に一般人のプライバシーを暴いてはならない、という拮抗がある。元タレントと一般の市井人の境目はグレーゾーンで、個別に判断するしかない。伝える側のスタンスが問われている面もあるのかもしれない」
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