突然白旗、敵前逃亡した ペンタックス経営陣の無責任
2007.06.02 10:07
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幹部社員から社長を支える言葉は出ず
しかし、中期計画に対する市場の反応は冷たく、ペンタックス経営陣のもくろみはもろくも行き詰まった。粘ってTOBを逃れても株価が急落すれば、今度は海外メーカーなどに買収される危険度が高まる。計画発表からわずか5日後の16日、HOYAにTOB受諾を伝えた。
問題はその後だ。筆頭株主の賛同を引き出せなければ総会は乗り切れないと判断した経営陣の狼狽は続き、綿貫社長の続投にこだわって裏目に出た。綿貫氏を担いだ取締役5人は「社長が残って会社の将来を見届けてほしい」と言いだし、社長以外の7人が退任すれば混乱の責任は取れるとの案をまとめたが、筆頭株主は首を縦に振ってくれない。
綿貫社長は社内の幹部会で結束を、と呼びかけた。しかし、執行役員以下の幹部社員からは社長を支える言葉はほとんどなかった。「土壇場で社内からも突き放され、辞任やむなしと判断したのでは」(ペンタックス関係者)という。
TOB後に子会社になるとはいえ、経営を担当していた取締役が混乱の中で全員を去るのは、無責任な"敵前逃亡"と批判されても仕方ない。役員構成も決められないのに、独立路線どころではない。ペンタックスの選択は、会社をそっくり明け渡す「落城」も同然だ。今回のケースは感情に走り、従業員の存在を置き忘れた失敗という悪しき前例になるのかもしれない。