2024年 4月 24日 (水)

10月から求人年齢制限禁止 中高年は救われるのか

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   募集や採用のときの年齢制限を原則禁じる改正雇用対策法が2007年10月1日から施行される。中高年や30歳以上の「年長フリーター」の雇用機会が増えることが期待されている。一方で制限には例外規定もあり、どこまで「中高年層」の「厳しい現実」が変化するのか。

年齢尋ねても即違法になる訳ではない

年齢制限の原則禁止などを説明する厚生労働省のHP
年齢制限の原則禁止などを説明する厚生労働省のHP

   改正法は07年6月に成立した。これまで努力義務だった年齢制限を原則禁止したのが大きな特徴だ。違反した場合の罰則はないものの、行政の指導や勧告に従わない場合は、ハローワークや職業紹介業者に求人掲載を拒否される場合がある。厚生労働省によると、適用されるのは10月1日以降の求人申し込みからだ。9月末以前に掲載を申し込んだ求人は、そのまま掲載されることになり、利用者から「おかしい」と指摘があればその都度修正を指導していく。10月1日から一斉に年齢制限が消えるという訳ではなさそうだ。

   ただ、年齢制限の「原則禁止」には6項目の「例外規定」がある。厚労省のHPで公開されている事業者向けに作った改正法の解説資料に掲載されている。

   こうしたこともあり、多くのブログは改正法に対して冷ややかな見方を示している。法改正は「形だけ」であり、企業が欲しがる人材層が急に変わることはないとし、「無意味だ」「絵に描いた餅」という声も挙がっている。

   また厚労省雇用政策課によると、面接や採用の際に企業側が年齢を理由に断ってはならないが、年齢を尋ねたからと言って即違法になる訳ではない。様々な例外規定と合わせ、「結局抜け穴になるのではないか」と質問すると、担当者は「抜け穴ではありません。高齢者や年長フリーターなどに均等に機会が開かれるよう厳正に運用します」と反論した。

   実際、企業側はどう反応するのだろうか。

   経済アナリストで日本人材紹介事業協会の理事でもある森永卓郎さんは、ネット上のコラム「構造改革をどう生きるか」(8月27日)の中で、改正法施行に期待感を示している。

   企業側は若い人が欲しい場合でも中高年の応募に対応せねばならない。その状態が続くうちに「試しに」採用する企業が出始め、それが「なんだ、できるじゃないか」という人材評価の「変化」へつながる可能性が「極めて高い」。そして「年齢差別の意識」がなくなり「中高年がもう少し軽やかに転職できるような時代」になれば「減給、降格人事」などの「会社の暴走」もかなり食い止められるーーこんな明るい展望を示している。

中長期的には採用される年齢層は徐々に広がる

   転職情報サイト「DODA(デューダ)」などで知られる総合人材サービス「インテリジェンス」(東京)は、短期的には変化なしだが、中長期的には採用される年齢層は徐々に広がると見る。当面は、企業側も従来必要としていた年齢層を広げる気はなく、求人側も過去の「実績」を見切った上で応募することになりそうだ。書類上、年齢制限は書いていません、といった程度に過ぎないという訳だ。すでに「対策」を取り始めている企業もある。例えば若い層を採用したい場合、オフィスで若い人だけが働いている写真を募集欄に掲載し、年齢制限は記載していないものの「暗に」若い層を募集しているといったアピールだ。

   しかし、担当者は長期的には採用される年齢層は広がると予測している。理由は景気回復による人手不足だ。特定の年齢層の採用にこだわっていては、人手確保が困難になる企業が出てくる。そこに年齢制限の原則禁止に伴い多用な年齢層の応募者が企業を訪れ、採用年齢層の拡大に一役買うというシナリオだ。

   ところで公務員採用試験はどうなるのか。人事院企画課などによると、国家・地方公務員は改正法の適用からは除外されている。しかし、同課は「民間の動向を踏まえる」ことは重要で「検討はされることになる」。また、各省庁が行う試験については「雇用対策法が改正されたことの注意喚起を行う」としている。

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