お笑いコンビ「麒麟」の田村裕さん(28)が、中学生時代に一家離散しホームレス生活を余儀なくされた経験などをつづった「ホームレス中学生」(ワニブックス)が、発売2ヶ月でミリオンセラーを記録した。タレント本としては異例の売れ行きで、一部には「ギネス申請も検討」という声もあがる。人気の秘密はどこにあるのだろうか。発売2ヶ月あまりでミリオンセラー入り発売から2ヶ月あまりでミリオンセラー入りを果たした「ホームレス中学生」は、田村さん一家が住んでいた自宅マンションが差し押さえられ、父親が「解散!!」と言い放って蒸発、一家は離散し、田村さんが1ヶ月近く公園でホームレス生活を送ったエピソードを中心につづったものだ。子どもたちの襲撃に遭ったり、体を洗うときには雨をシャワー代わりにしたこと、食べ物に困って雑草や水に濡らした段ボールを食べたことなどが披露されている。07年9月3日に発売されたが、版元であるワニブックスの広報担当者によると「今日(11月12日)の12回目の増刷で、110万部です」とのことで、発売からわずか2ヶ月あまりでミリオンセラー入りを果たしたというのだ。ここ10年あまりのミリオンセラーとしては「五体不満足」「バカの壁」「国家の品格」などがあるが、いずれも100万部を突破するまでには、発売から4ヶ月かかっている。同社では、「ここ10年の記録を調べた限りでは、(ミリオンセラー到達まで)2ヶ月というのは、ノンフィクションの分野としては最速なのでは」と話している。また、11月12日のデイリースポーツでは、この「スピード記録」について「関係者は、ギネス世界記録として申請を検討」と報じているが、同社でもJ-CASTニュースに対して、「そもそも(ギネスブックに申請することが)適切かどうかを含めて、調査を始めたところです」と、「下調べ中」であることを明らかにしている。「現代でも、こんなに貧しい状況が」と驚くこの異例の売り上げの背景については、「通常の『タレント本』では、お買い求めになる方はファンがほとんどなのですが、それ以外の層からも幅広くご支持をいただいているようです」と話す。具体的には、口コミで評判が広がったことや、アマゾンの書評欄で「笑うつもりで買ったら、案外泣けました」といった、好意的な声が多数寄せられていることがある。支持層は相当広いようで、学校図書館からの注文が相次いだり、終戦直後の食糧難を経験したシニア層から「現代でも、こんなに貧しい状況があることに驚きました」という手紙も多数届いているという。さらに、映画化やドラマ化も検討されており、同社では「年内の正式発表を目指しています」と話している。いわば、「ほぼ本決まり」といった様子で、しばらくはブームが続きそうだ。
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