2024年 4月 24日 (水)

新築マンション値崩れ始まる 千葉県すでに2004年の水準

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   新築分譲マンションの価格が下落している。不動産経済研究所がまとめた首都圏のマンション市場動向によると、埼玉県や千葉県では価格の下落が鮮明になってきて、「千葉県では、1平米あたりの単価ベースで2004年の水準に近づいています」と指摘。購入希望者が安い物件を求めて買い控えを決め込んでいて、売り手側が値下げするしかなくなってきている。

一斉値下げは否定するが、「個別に対応は必要」

   2008年6月22日付の日本経済新聞は、分譲マンション大手で、ライオンズマンションの大京やダイアパレスのダイア建設が、在庫マンションを一斉値下げ販売すると報じた。一斉値下げはめずらしく、6月24日付の日刊ゲンダイも「投げ売りが始まった」と伝えた。これらの記事がきっかけとなったのか、大京の6月23日の株価は185円と前日(20日)比4円安、24日も同5円安と下げた。大京は一斉値下げを否定するとともに「日経には厳重に抗議した」と話す。ダイア建設も6月24日に否定のコメントを発表した。

   とはいえ、マンション価格が下落していることは間違いない。不動産経済研究所によると、5月の地域別平均価格は、東京都23区は前年同月比1.1%アップして6339万円、東京都下は同15.0%上昇の4617万円、神奈川県も同11.9%上がり4582万円だったが、埼玉県は同6.5%下がり3397万円、千葉県は同21.1%低下の3111万円と大きくダウンした。5月に首都圏で販売したマンションの翌月繰越販売在庫数は1万482戸だった。

   同研究所は「エンドユーザーが値下がりを待って、購入に慎重になっていることは明らかです」(調査部)という。たとえば、千葉市の月間契約率をみると80%を超えていて、この水準は07年7月以来のもの。08年1月には44%まで落ち込んだが、「人気エリアが値下げに踏み切ったことで、単月ベースでは契約率がはね上がった」とみている。

   大京やダイア建設にしても、値下げそのものを否定しているわけではない。「モデルル-ムに使った物件や、完成してある程度経った物件は値下げする可能性があります。市況をみながら、物件ごとに対応します」(大京)、「他社との競合もあり、個別で判断していきます。現状をみれば、方向性としては(値下げ)対応が必要になってきていると認識しています」(ダイア建設)と話している。

在庫処分しないと借金が返せない

   ある不動産業界の関係者は、新日鉄都市開発と東京建物が07年7月から販売していた「ココロコス東京久米川」(東京都東村山市、406戸)の値引きが、「いまの在庫解消に向けて動き出したきっかけになった」とみている。この物件は08年1月、たとえば当初3158万円の3LDKが2350万円に引き下げられるなど、20~25%程度を一斉値下げした。

   新日鉄都市開発は「今年3月の竣工だったので販売のスピードアップを図りたかった」と値下げの理由を説明。値下げ効果もあって、5月末時点でほぼ完売した。

   「ココロコス東京久米川」の値下げ以降、マンション大手は値下げの機会をうかがう一方で、都市部でも地価下落がはじまり在庫問題は深刻になってきた。いま売り出し中の物件や抱えている土地などは地価が上昇局面にあったときに購入したものが含まれており、建築コストは高止まりしたまま。そのため、売り出し当初から値下げすることはむずかしい。

   マンション業者は一般的に、売った資金で銀行への借金をいったん返済し、新たに融資してもらって土地の購入・着工するのがパターンになっていて、マンションが売れないと借金が返済できない事情がある。前出の不動産関係者は、「借金返済が滞ってきて、貸し渋りにあっている業者もあると聞いている」と証言。多少値下げしてでも早めに売ってしまいたいとの思いに大きく傾いているわけだ。

   新規供給の落ち込みをみても在庫処分に注力していることがわかるし、資金余力のあるマンション大手は値下がりした土地を購入して、そこに新築物件を建てて安く販売することで市況の回復を待つといった対策を立てている。

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