2024年 4月 27日 (土)

ささやかれるマンション価格「9月暴落」説

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   マンション建設や分譲販売を手がける建設・不動産業者の経営破たんが相次いでいる。いまのマンション業者の破たんは、銀行の「貸し渋り」が原因とされるが、この傾向は当分続きそうで、それが「投げ売り」を招き、マンション価格が9月に暴落するという話がささやかれている。

相次ぐ大型倒産、銀行の「貸し渋り」が原因か

   2008年6月の、東証2部のスルガコーポレーションにはじまり、7月に入って、中堅ゼネコンの真柄建設やマンション開発中堅で東証1部のゼファー、JASDAQに上場する広島県のキョーエイ産業、北海道内の建設最大手で、旭山動物園を手がけた北野組が破たん。7月24日にはJASDAQに上場するマンション建設の三平建設へと連鎖するなど、大型倒産が相次いでいる。

   これらを受けるかたちで、東京株式市場の建設・不動産株が値下がりしている。7月22日の値下がり率をみると、分譲マンションのアゼルや、オフィスビルを主力とするアーバンコーポレイション、ファンド向け収益物件に力を入れるジョイント・コーポレーションなど上位20社のうち、じつに12社が建設・不動産株だった。

   スルガコーポレーションの破たん直後も不動産株は大きく下落。そのときストップ安となった銘柄のひとつにゼファーもあり、「次はどこだ」と信用不安のうわさが流れた。「最近は、ひとつのきっかけで一気に(株価が)暴落。それに伴い資金繰りが悪化するケースが多い」(大手不動産の関係者)という。

   マンション価格の「9月暴落」説は、中間決算をにらんで、銀行の融資姿勢が厳しくなることを根拠にしている。7月18日に記者会見したゼファーの飯岡隆夫社長は、「1、2、3月と時間を追うごとに銀行の融資姿勢が厳しくなった」と、銀行による「貸し渋り」の存在を明かした。

   建設・不動産業者は、サブプライム問題や原材料価格の上昇、改正建築基準法の影響などの複合的な要因を背景に苦境に立たされているが、なかでもゼファーのような不動産ファンドへの売却を当てにした事業、いわゆる不動産の流動化ビジネスを展開してきた業者は、かなりつらい状況という。

私募不動産ファンドは「死に体」

   ここでいう不動産ファンドとは、東証に上場している不動産投資信託(J-REIT)とはちがう、私募ファンドのこと。

   いま銀行は不動産ファンドが物件を購入するための融資を強烈にしぼっていて、なかでも「私募ファンドへの融資はほとんど止まっている」(地方銀行の幹部)という。肝心のファンドが「死に体」状況となって、開発した物件が売れず、資金繰りに窮した。

   マンション販売が好調だったときに、価格の吊り上げに貢献してきたファンドだが、それが不調に転じたことで倒産にまで追い込まれているというわけだ。

   不動産ファンドに詳しい、REITアナリストの山崎成人氏は「いま銀行の貸し渋りをやめさせるよう、金融庁に苦情を持ち込んでいるものの多くは私募ファンドです」と話す。どうも金融庁を揺さぶって、銀行から融資を引き出そうという狙いのようだが、銀行にしてみれば業者が倒産すれば不良債権が増えるので、建設・不動産業者向けの融資姿勢はそう簡単には変わらない。

   建設・不動産業者への追加融資などがあり得る状況ではないし、借金を返済できなければ分譲中のマンションといえども担保として銀行にとられてしまう。そんな物件が市場で「投売り」されるという思惑が働いている。

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