2024年 5月 4日 (土)

上場廃止アジア・メディア前社長 中国でも資金流用事件の「前科」

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日本の金融企業の調査能力に疑問

   日本企業に詳しいジャーナリストの顔志剛氏は、アジア・メディアの東証における上場と「退場」について、

「東証で上場している外国企業は、ピーク時の1990年代の127社から現在の22社まで減少したが、その歯止めとして中国企業の上場が期待されている」

と見ていて、08年に中国企業十数社が列を作って東証での上場を待っているとも明らかにした。

   もう一人のエコノミストは、東証、日本の証券会社の不備を指摘する。

「日本の金融会社には中国語のわかる社員がやっと数名いるようになったが、中国企業の特徴が分からず、企業を見分ける力、問題が出たらそれを速やかに処理していく能力などいずれも不足している」

と言い、日本の金融企業の調査能力に疑問を抱いている。

   外国企業の上場を積極的に進める東証は、アジア・メディアの上場を前提に審査したのではないか、といわれても仕方がないほどのお粗末ぶりだ。さらに上場の橋渡しをした野村証券などは、なぜ崔建平氏を見抜けなかったか。その責任を十分追及せず、「今、東証と一緒に1年あまり育てたアジア・メディアという『独草』を煎じて飲んでいる」とエコノミストは見る。

   13億の民が一斉に経済的な豊かさを求めるなか、市場ルールを無視する詐欺師やペテン師もまた多く現れる。それを中国では『独草』と呼ぶ。粉飾決算、資金の私的流用などは当たり前のように行っている中国。今度は日本まで場を移した形だ。東証は独草を育て、またすぐ切った。中国企業の実体を見抜く能力の低さを今回の事件で露呈したのは明白だ。アジア・メディアの上場を廃止するだけで、責任を逃れられるものではない。

   東証は08年8月1日、北京市公安局にアジア・メディアを資金流用という罪で刑事告発した。

 

(ジェイ・キャスト・北京)

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