2024年 4月 25日 (木)

「ニコニコ動画」「ユーチューブ」 2009年に念願の黒字化達成?

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   「ニコニコ動画」は会員数が現在1100万人、閲覧数が1日平均5300万という大人気投稿動画サイトだが、赤字が増え続けている。全世界でひと月に3億3000万人以上が利用している「ユーチューブ」も収益面では苦戦が伝えられている。投稿動画サイトはいつ黒字になるのか。

09年は収益向上への転換の年と位置付ける

   「ニコニコ動画」を傘下に持つドワンゴは2009年2月5日に第1四半期連結決算(08年10~12月) 決算を発表した。「ニコニコ動画」が事業の大半を占めるポータル事業の売上高は、前年同期比77.9%増の6億3600万円だったが、営業損失は前年の約倍の4億7500万円になった。様々な収益手段を講じたものの、

「登録会員数の増加に伴う設備投資、回線費用の増加及び本格的な収益化に向けての先行投資等により、未だ収益の貢献には至っておりません」

と説明している。

   「ニコニコ動画」の赤字はユーザーにも知られており、08年秋にはネット上で「黒字化させる策はないのか」という議論が活発になった。「ニコニコ動画」開発者ブログは08年11月14日付けで、

「黒字化するための本命の収入源はユーザーのみなさんからの直接課金と広告収入ではないかと予想しています。そういう意味では、まだ、ニコニコ動画は本気でお金を稼ごうとはしていません」

とし、ビジネスで勝ち抜いていくためには、現在の収入では全然たりない、などと回答していた。

   経営の苦しさは世界最大の投稿動画サイト「ユーチューブ」も同様のようで、06年10月に米グーグルに買収されるまで赤字続き。買収された後も経営は好転せず、ロイター通信電子版が08年10月17日に伝えたところによれば、

「親会社の米グーグルに収入面で貢献できるようになるまで、少なくともあと2年はかかると見られている」

とし、投資家は、同社がいつの段階で事業規模に見合った収入や利益を上げるのか、と心配する声を挙げ始めている、などと書いている。

   動画投稿サイトには著作権を害する違法動画投稿が相次ぎ、コメント欄も読むに耐えないものがある。そのため広告主に嫌われ、広告が集まらない、ともいわれていた。また、「ニコニコ動画」にはユーザーに課金する「プレミアム会員」制度があるが、無料会員であっても充分に楽しめるため、課金に応じるユーザーは少ないのではないか、という見方も出ていた。

   そうした中で、「ニコニコ動画」も「ユーチューブ」も09年は収益向上の転換の年と捉えているようだ。ドワンゴ広報IR室はJ-CASTニュースの取材に対し、これまでの赤字はユーザーの期待に応えられるサイト作りに注力してきた結果と説明する。こうした基盤作りが進んだため、

「08年10月からは広告枠を3.5倍に拡大し、大手のクライアントさんも付いてくれました。ポイントシステムや、有料会員などの新しいサービスも伸びていますので、今年6月には単月黒字化を目指しています」

と意外に強気だ。

「広告を出しにくい」というイメージは払拭されつつある

   グーグル日本法人の辻野晃一郎社長は「東洋経済」(09年2月5日付け電子版)とのインタビューで、これまで「ユーチューブ」は著作権問題など解決しなければならない問題が山積し、収益化に向ける力が不足していたものの、

「今年は日本でもユーチューブを利用したマネタイズ(収益化)が非常に重要なテーマとなります」

とし、収益アップに攻勢をかける考えを示している。

   ITジャーナリストの井上トシユキさんは、投稿動画サイトが黒字化する可能性は高い、と指摘する。「ニコニコ動画」の場合だと、ジャスラックと提携したり、違法動画排除の姿勢を示したことが企業にも認められ、「投稿動画サイトに広告を出しにくい」というイメージは払拭されつつある、という。

「初期投資が実を結ぶまで3年から5年はかかります。ニコニコ動画もユーチューブも、これまで『赤ちゃん』だったのが『小学生』に成長している段階。これから収益を上げるための様々な仕掛けがでてくるはずです」

と見ている。

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