2019年 1月 23日 (水)

解雇規制の緩和、撤廃 これで雇用が増える
経済学者・池田信夫さんに聞く

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   「派遣切り」が深刻化するなど、雇用を巡る情勢は悪くなるばかりだ。どうしたらいいのか。手立てはないのか。「正社員に対する解雇規制を緩和すべきだ」と提言している経済学者の池田信夫さんに聞いた。

――派遣労働者の契約期間3年が過ぎると、直接雇用にするか契約を打ち切るかを選ばざるをえなくなる、いわゆる「2009年問題」も目前に迫っています。

池田:   最も心配されていたのが、製造業で派遣を切られると「3か月間の冷却期間をおかないといけない」という項目です。そうなると、法律を守るために、企業は必要な人までいったん首を切らざるを得なくなる。これは非常に深刻な問題です。少なくとも、雇いたい人を無理矢理、首にしないといけないような状況は避けないといけません。

価格メカニズムというのは、どこの国でも大なり小なり嫌われる

解雇規制の問題について話す池田信夫さん
解雇規制の問題について話す池田信夫さん

――具体的には、どのような対策を取るべきだと思いますか。

池田:    暫定的にでも、冷却期間の規定を凍結すべきだと思います。つまり、2009年3月に厚生省の推定のように15万7000人の契約が切れるとして、仮に半分を企業が雇いたいのであれば、その分は継続して雇うことができるような措置が必要なのではないでしょうか。具体的には、例えば政令で「暫定的に冷却期間の規定について一時的に凍結する」と定めるなどです。

――最近、派遣という制度自体に異議を唱える人も多い。

池田:    ちょっと前には、民主党の菅直人代表代行が社民党と共同で製造業への派遣を禁止する法案を発表しました。派遣の禁止は、すでに雇われている人をクビにするというのに等しい。不況のまっただなかに、さらに失業を作り出す仕組みです。そのあたりを理解している人が少ない。

――舛添厚労相の「他人に首切りをさせる。それが派遣業」との発言もありましたね。

池田:    そりゃ、感情論では分かるんですけどね。こんなことを言うと多分嫌われるんでしょうが、経済学というのは、短期的な目の前の利益と、長期的な全体として見た場合の利益を、比較しながら考えていくものです。ところが、識者といわれる人も「目の前のかわいそうな人を助けないといけない」となる。消費者金融への過払い金訴訟などが良い例です。裁判所も「一度払った借金を返せ」と認めてしまったために、消費者金融会社は続々と潰れています。その結果、数百万人ともいわれる人々が、この市場から排除されました。結果的に、ちゃんとお金を借りて返していた人まで、お金が借りられなくなってしまう。

――「首切りはけしからん」「非正規を守れ」という大合唱です。

池田:    感情論という意味では、今回の「派遣切り」も同じだと思います。政府が「全員正社員として雇わないといけない」という方針であれば、そのような法律を作るしかありません。「派遣も請負もダメだ」と。そうなると、大幅に雇用は減少するでしょう。さらに話を進め、「どこの企業は何人雇え」となると、これはもう社会主義です。社会主義がどうなるかというのは、歴史が証明しています。
つまり、「企業が、必要な人を必要な待遇で、自分たちが利益が上がるような形で雇う」ということで、結果的に雇用の安定が保たれているのです。そこに個別の事情を無視して役所が別のシステムを押しつけても、いいことが起こる訳がありません。にもかわらず、自分たちの利害に直接関係するとなると、やっぱり社会主義が出てきてしまう。

――どうしてでしょう。

池田:    価格メカニズムというのは、どこの国でも大なり小なり嫌われるものです。感情や正義を無視して動くドライなものですから。それを、労組などが「けしからん」というならともかく、舛添さんみたいな客観的に物を見るべき立場の人が、感情的な発言をするのを見ると、日本の政治は成熟していないんだと思い知らされます。
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