2024年 5月 3日 (金)

「天下の大虚報」流した週刊新潮 「被害者」装う言い訳に批判

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   週刊新潮は2009年4月23日号で、朝日新聞阪神支局襲撃事件(1987年5月)の「実名告白手記」を誤報と認め、謝罪した。だがこの謝罪記事、「ニセ実行犯」島村征憲氏(65)に騙された「経緯」を書き記したもの。再発防止策への言及や新潮関係者への処分もなく、あたかも「被害者」であるかのような姿勢に、「説明責任を果たしていない」との声もあがっている。

「見解はすでに誌面に掲載」繰り返す新潮

「事件を解明に導く可能性を秘めた『証拠』の数々は全て、島村氏のもとにある」
「『証拠』を元に徹底検証できるのは、警察当局の他にはない」

   新潮は09年1月から2月の4回にわたり連載した告白手記の最終回を、自信をもって締めくくっている。襲撃事件の「被害者」である朝日新聞に「事実と明らかに異なる点が多数含まれている」と、連載当初から疑義を呈されていたにもかかわらず、だ。

   そして、連載終了後の2月23日、朝日新聞が新潮の手記を「虚言」と断じ、新潮社の責任にまで言及した検証記事に対しても、

「襲撃現場の状況について、当時の記者の記憶で『再現』したものと異なる証言だから事実ではない、と決めつけたりしている」

とし、「捜査当局の判断を待つだけ」と「反駁」していた。

   手記の信憑性が揺らいだのは、3月19日、手記で「犯行の指示役」とされ、新潮に抗議していた元在日米国大使館員の男性(54)に、現金を支払い、和解したことだ。各社は「事実上誤報と認めたことになる」と報じたが、新潮は、

「第3者条項があるので和解内容は明らかにできない。本件に関する小誌の見解はすでに誌面に掲載しております」

と答えるのみ。朝日新聞が3月11日、24日の2度にわたり送付した質問状に対しても、

「小誌の見解はすでに誌面に掲載しております」

とし、「だんまり」を繰り返した。これに対し朝日新聞は4月1日にも再度検証記事を掲載し、手記を「放置できぬ虚報」とし「訂正、謝罪すべきである」と怒りをあらわにしていた。

「読者も離れていく。いずれ休刊、廃刊もあり得るのでは」

   事態が変化したのは4月7日。「実行犯」島村氏は各新聞、各週刊誌のインタビューに対し、「新潮がつくったストーリーに乗せられた、手記はうそ」と答え、「自分は現場には行ってない」「配下の若衆に襲撃させた」と証言をひるがえした。これについて新潮は、 「証言内容は島村氏のインタビューを録音したテープによって証明することができる」 と反論していた。

   週刊新潮・早川清編集長は23日号で「『週刊新潮』はこうして『ニセ実行犯』に騙された」という題で謝罪記事を書いている。「裏づけ取材の不足」を「騙された」理由に挙げ、「雑誌ジャーナリズムへの信頼を大きく傷つけてしまった」「虚言を弄する証言者の本質を見抜く眼力がなかった」と反省。「ミスリードによって結果的に誤報となった」「証言内容を『捏造』したわけでもない」などと「言い訳」し、休刊、廃刊に関しては否定している。

「『天下の大虚報』を流してしまったことに対し、新潮は社会的な責任を全く果たしていない。反省にも何もなっていない」

と新潮を糾弾するのは、月刊誌「世界」09年5月号で雑誌ジャーナリズムに警鐘を鳴らしていたノンフィクション作家の佐野眞一氏だ。何度もあった謝罪のタイミングを逃した末の、遅きに失した謝罪だと断ずる。

「虚報の責任という意味では新潮が『実行犯』であると言っても過言ではない。謝罪記事のタイトルも『週刊新潮はこうしてニセ実行犯と共謀して読者を騙した』というほうが正しかったのでは」

   そして週刊新潮の今後についても、

「こんなもので世間は許さないでしょう。読者も離れていく。いずれ休刊、廃刊もあり得るのでは。週刊誌全体の低落傾向にも、今回の新潮はさらに拍車をかけてしまった」

と、厳しい見方だった。

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