2024年 4月 27日 (土)

「格付け引き下げ」 アイフルはどこにいくのか

   消費者金融大手の一角であるアイフルの長期格付けを、米格付会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスやスタンダード&プアーズ(S&P)が相次いで、2段階引き下げた。「Ba2」、「ダブルB」の格付けは「投機的」の水準で、ジャンク債寸前の扱いだ。消費者金融は、改正貸金業法への対応や過払い利息の返還請求などで収益悪化がとまらない。銀行グループに属するアコムやプロミスとの「格差」が広がり、「アイフルはどうなるのか」とささやかれている。

ダブルBは「投機的」の評価

   アイフルの格付けは、ムーディーズが「Baa3」から「Ba2」へと2段階引き下げたのに続いて、S&Pも「トリプルBマイナス」から「ダブルB」に格下げした。

   格付けは債券を発行した企業が、元本と利息をきちんと支払えるかどうかの目安となるが、ムーディーズの格付けは最上位の「Aaa」から最下位の「C」まで21段階。アイフルの「Ba2」は上から12番目の水準で、格付けの見通しを「ネガティブ」、投資判断を「投機的」と評価した。

   S&Pの「ダブルB」は22段階のうち上から12番目で、「不確実性、脆弱性を有する」という評価だ。ちなみに、S&Pは武富士も「ダブルBプラス」に1段階格下げ、アコムは「トリプルBプラス」、プロミスは「トリプルB」に据え置いた。

   いずれにしても、アイフルは大手4社のうち最低の評価となった。

   格下げの理由についてS&Pは、アイフルは09年3月期末の連結有利子負債9178億円のうち、1年以内に返済期限を迎える債務が4370億円と大きいこと、また「資金調達の柔軟性が制約される」と指摘している。

格下げは「想定内」資金繰り「心配ない」

   格下げの理由になっている資金繰りの悪化について、アイフルは「心配ない」と強気だ。「格下げは想定内だし、資金の調達計画はそれを織り込んでいて、確実なところ(メーンバンク)と話はついている」と断言する。

   とはいえ、不安がないわけではない。アイフルを支えてきた、あおぞら銀行は新生銀行と経営統合で交渉中。住友信託銀行も09年3月期決算こそ黒字を確保したものの、十分な支援は期待できない。500億円を設定した銀行融資枠は現在、残り100億円と細い。「資金繰りを支援する銀行団がアイフルと距離を置きはじめている」というウワサもある。

   当面の資金繰りは、「手元資金のやり繰りできる」(アイフル)という。同社によると、09年3月末時点の手元資金は、現金1315億円。これに、「貸付金の元金とその利息分の9192億円の入金がある」と説明する。合計1兆507億円。これを貸付金の原資と過払い金の返還、有利子負債の解消に充てるという算段だ。

   しかし、入金を見込んでいる9192億円が間違いなく手元に入るとは限らない。景気悪化で資金回収が滞り、不良債権化しそうだからだ。

   加えて、過払い金の返還額が増える可能性がある。08年度の過払い金の返還額は大手4社で一番少ない550億円だったが、アイフル自身も「過払い金の返還額は流動的な要素が多く、実際にどのくらいになるかはわからない」と、増加の可能性を認めている。

   不良債権が増え、過払い金の返還額が高止まりすれば、監査法人はこの3月期(1634億円)を上回る引当金を求めるはずだ。

   それでも、アイフルは「融資審査の厳格化と回収の強化で貸付金を圧縮すれば、資金は手当てできる」と話す。ただ、貸付金の圧縮は顧客離れが進んで収益基盤を悪化させるし、強引な資金回収もできないとあって、資金手当はそう簡単ではない。

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