2024年 4月 18日 (木)

続発する子どもたちの暴力 遊びがエスカレート?

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   学校内で爆竹を鳴らし、注意した教師に暴力を振るう。こんな中学生の無法ぶりが報じられるなど、子どもたちの暴力行為が増えてきている。これは悪意あるケースだが、最近は、遊んでいるうちに暴力にエスカレートするというのだ。

注意した教頭の胸ぐらをつかむ

「オレを取材するちゃ、100万年早えぞ!」

   福岡県田川郡内の町立中学校で2008年3月、2、3年生男子ら8人の暴力行為が話題になったことがあった。そのとき、生徒らは、こう叫んで、卒業式を取材中のテレビリポーターからマイクを奪い、大声で歌を歌い始めた。

   8人のうち2人は卒業式後、暴力行為の疑いで県警に逮捕された。たまり場の教室から荷物を片付けられたことに腹を立て、校長室で鉄パイプを振り回しながら湯飲みやロッカーを壊した疑いだ。

   その後、同校では、非行対策などのサポート教室を設置して、生徒らの適応指導に当たってきた。ところが、ここに来て、また生徒たちの問題行動が報じられている。

   新聞各紙によると、3年生男子が09年6月23日、校内で爆竹を鳴らし、注意した教頭の胸ぐらをつかんでもみ合いになった。ビニール袋の水を廊下にまき散らしたり、教師らに暴言を吐いたりもしていたといい、この生徒は7月3日から2週間の出席停止措置が取られた。また、別の3年生男子が6月、喫煙を注意した女性講師の胸ぐらをつかみ、1週間の自宅謹慎になっている。

   県教委でも、問題行動の続発に戸惑っている様子だ。教育相談室では、「だいぶ落ち着いてきていると報告を受けていましたが…」と話していた。

   子どもたちの暴力行為は、福岡に限らず、全国的に増えている。文科省の調査によると、中学生らの校内暴力は、「キレる」現象が問題になった90年代後半から増加。生徒間暴力では、07年度は、中学校では前年度より25%も延びて、全国で2万件近くに達している。これは、小学校の6倍、高校の3倍ある。低年齢化も進み、小学校では07年度に前年度より45%も増えている。

「社会と個人の区別なくなり、すべてがプライベートになっている」

   子どものモラルの問題に取り組んでいる東京都多摩市立多摩第2小学校の有田八州穂教諭は、暴力行為が増えてきている理由をこうみる。

「個人の主張や利害ばかりを考えて、子どもを甘やかしています。電車内で平気で着替えをするなど、社会と個人の空間の区別がなくなり、すべてがプライベートのようになっています。だから、我慢できずに、カッとなってハサミを投げつけるなど、すぐキレてしまうんですね。家庭を中心にした社会全体で、規範意識を育てる取り組みが少な過ぎます」

   前出の福岡の場合は、どちらかと言えば悪意を持って問題行動を起こしたケースだが、最近は、後先の結果が分からずにしてしまうことも多いという。

   同じ福岡県田川郡内の別の中学校では、3年生男子が2009年7月5日、自宅で同級生との罰ゲームがエスカレートして、アイロンを押し当てて全治1か月の大やけどを負わせてしまった。また、宇都宮市では08年11月10日、砂風呂ごっこの遊びをして、中学2年生男子が窒息して重体となり、4か月後に死亡したケースも報じられている。

   有田教諭は、次のように指摘する。

「普段仲良く遊んでいるのに、急にからかわれたと怒って、窓枠に乗って飛び降りようとした小学6年生の男の子がいました。最近は、こんな子までと、回りの人がなぜキレるのか分からないケースが増えています。悪質なからかいでなくても、カッと怒ってしまうんですね」

   そのうえで、理由などについて、こう語る。

「感情を抑えるすべを、小さいころから習っていないのでしょう。ゲームやケータイの体験ばかりなので、生身のやり取りが苦手な子が多くなっているんです。人に石を投げればどうなるかなどの判断力がなくなってしまうわけです。だから、具体例に即して、判断の仕方を教えなければなりません。学校でも、道徳の時間ばかりでなく、日常の中で子どもたちに問いかけていくことが大事だと思っています」
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