8時間の激論でゼロ金利決定 日銀が「決定会合」議事録公開
2009.08.10 19:35
0
「経験がなく、何が起きるか若干不安」と胸中を吐露
これに対し、速水総裁も「どの程度十分な効果を持つのか正直に申し上げて自信がない」「経験がなく、何が起きるか若干不安」と揺れる胸中を吐露。「0.15%へ下げ、市場の情勢を見た上でゼロに近い方向に下げることができるのではないか」と手探りで進む考えを示し、最後は8対1の賛成多数(反対は篠塚委員)でゼロ金利導入が決まった。
政府の「圧力」もゼロ金利の背景にあった。速水総裁は1月19日の決定会合で「今朝も経済閣僚会議である大臣から『日銀はなぜ(国債)引き受けをしないのか』と質問された」と明かした。日銀の国債引き受けは財政支出の無制限な膨張につながりかねない「禁じ手」。2月12日の決定会合で速水総裁は「悪性インフレを招きかねず、日銀への信認を失わせる」と強く否定した。
ただ、日銀も無策ではいられなかった。「金利で打つべき手が残っている以上、打ち尽くしてみる」(山口副総裁)とゼロ金利に活路を求めるほかなかった。政府の「圧力」をかわすための苦肉の策として導入された側面もあり、「走りながら考えるより仕方がない」(山口副総裁)と事実上の「見切り発車」だった。