2024年 4月 18日 (木)

「選挙」より「自分」が大事 女子大生は政治まで頭が回らない
インタビュー「若者を棄てない政治」第11回/「きゃんぱす☆まがじん」編集長・小松亜子さん

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   日本の首相を色であらわすとしたら何色か?――そんな質問を女子大生にぶつけたら、一番多かったのは「灰色」だった。女子大生にとって、政治家はとらえどころのない不明瞭な存在のようだ。なぜ、そうなってしまうのか。大学生向けのフリーペーパー『きゃんぱす☆まがじん』の編集長をつとめる小松亜子さん(31歳)に聞いた。

総理大臣を色にたとえると「グレー」

「大学時代は卓球一筋に打ち込んでいて、政治のことなんて全然関心がなかった」という小松亜子さん
「大学時代は卓球一筋に打ち込んでいて、政治のことなんて全然関心がなかった」という小松亜子さん

――「きゃんぱす☆まがじん」では「大学生の政治感覚」を取り上げたことがありますね。

小松 2年前の1月に首都圏の女子大生300人にアンケートして、その結果をまとめました。まだ安倍さんが首相だったころです。政治についてどう思っているか、いろんな質問をしたんですが、面白かったのは「首相を色であわらすと?」という項目でした。

――どんな回答だったんですか。

小松 一番多かったのは「灰色(グレー)」で、3分の1にあたる97人がそう答えました。理由は、「発言がよくわからない、はっきりしない」というもので、なかなか的を射ているなと思いました。これは2年前のアンケートですけど、おそらく今もそんなに変わらないと思うんですよね。

――2位は「青(ブルー)」ですね。

小松 首相の安倍さんのネクタイがいつも青っぽいからという単純な理由でした。やっぱり見た目の印象というのも大きいということでしょうね。

   3位は白なんですが、これは潔白という意味ではなく、「なんかよくわからない、自分の色をもってないじゃん」といった感じでした(笑)。

「いい顔をしているかどうか」は大事

――女子大生からみると、首相は「よくわからない人」というイメージなんですね。

小松 先日も女子大生とディスカッションをしたんですが、彼女たちが言っていたのは「小泉さんぐらいカリスマ性があるといい」ということです。一番上に立つ人が口先だけ何もやらなかったり、すぐに辞めてしまったりすると、期待も信用もできないと言うんです。

――そういう点でいうと、宮崎県の東国原知事や大阪府の橋下知事は言葉がわかりやすいので、女子大生にも人気がありそうですね。

小松 女子大生的には「タレント議員はもういいよ」という感覚もあるみたいですけどね(笑)。ただ、別にイケメンじゃなくてもいいから、「いい顔をしているかどうか」というのは政治家として重要だと思います。やっぱり人相というのもかなりありますよね。

――政策よりもルックスということでしょうか?

小松 ほとんどの学生にとって、政治家って自分とはかけ離れた芸能人みたいな存在で、なんかいろいろやっているみたいだけど、自分たちの生活とどう関わりあっているのかよくわからない。そんな感覚なんですね。中学や高校で一通り政治のことは勉強しますけど、すぐ選挙権があるわけではないので身近に感じることができない。

   でも政治に興味をもっている女子大生は意外と多い。アンケートで「政治に興味がある?」と聞くと、6割の子が「ある」と答えています。「もっと政治に詳しくなりたい?」という質問には、8割以上が「詳しくなりたいと思う」と回答しているんですよ。

――政治の知識への欲求はないわけではない、と。

小松 私自身の経験からしても、政治のことをもっと楽しく、わかりやすく教えてくれる場があったらいいなと思います。女子大生の場合はテレビとネットから情報を得ている子が多いので、そこでわかりやすく政治のことを伝えてもらえるといいですよね。

   ある学生は、日本テレビの『太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中』という討論番組を欠かさず見ていると言っているんですが、この番組みたいに楽しく教えてくれるものって必要だなと思いますね。

「政治のことを話す場がない」

――きっかけが大事だということですね。

小松 この前「きゃんぱす☆まがじん」の編集部にいる学生に政治のことをディスカッションしてもらったときも、最初は「盛り上がるかな」と心配だったんですけど、意外と白熱しました(笑)。実家の近くに高速道路が通ることになったとか、住民票を東京に移していないので選挙に行けないとか、自分の体験を振り返りながら、いろいろしゃべってくれました。

   そのとき印象的だったのは、彼女たちが「こんなふうに政治のことを話すのは初めて」と言っていたこと。ふだんの友達との会話では、恋愛話とか、サークルやバイトの話が先にきてしまって、政治のことをじっくり話し合う空気にならないというんですね。

――女子大生にしてみれば、「選挙よりもデートが大事」?

小松 「デート」というよりは「自分」のことが大事、ということですね。デートぐらいだったら、彼氏と一緒に選挙に行こうよというのもあると思うんですけど、就活とかサークルとか、自分が一生懸命やっている活動で精一杯のときは、選挙のことまで頭が回らない。選挙よりも自分が大事、国の未来よりも私の未来のほうが大事だ、と。

小松 亜子さん プロフィール
こまつ あこ 1978年、長野県生まれ。2001年、専修大学文学部卒。大学4年のとき、女子大生をメンバーとするプロジェクトチーム「えんぴつ女房」(現・エンピツむすめ)を発足。雑誌発行やマーケティング・リサーチをてがける。大学生向けフリーペーパー「きゃんぱす☆まがじん」や落語雑誌「らくご☆まがじん」の編集長として、女子大生の感性を生かした情報を発信している。

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