2019年 2月 18日 (月)

テレビがなぜ「新聞再販」報じないか 民主新政権のマスコミ政策に注目
(連載「テレビ崩壊」第10回<最終回>/ビデオジャーナリスト・神保哲生さんに聞く )

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   民主党は記者クラブ加盟社以外でも記者会見に参加できる「記者会見のオープン化」を進めている。民主党が政権をとった今、テレビをはじめとするメディアはどのように変わるのだろうか。連載の最終回は、民主党のメディア政策について、ビデオジャーナリストの神保哲生さんに聞いた。

――神保さんは2009年7月27日のマニフェスト発表会見で、「記者会見を開放する」方針がマニフェストに入っていない理由を鳩山由紀夫代表に質問しました。鳩山氏は「マニフェストに入れるまでもない」とした上で、政権獲得後も記者会見をオープンにする方針を改めて強調しました。このことで、テレビを始めとするメディアは、どう変わるのでしょうか。

神保 テレビ・新聞は、これまで、1次情報に関しては記者クラブという参入障壁に守られて、寡占状態になっていました。そのため、彼らは会見に出て発表モノを報じるだけで、仕事のある程度の部分は成り立ってしまっていました。ところが、新政権では、政府の会見がオープンになる。会見の内容を報じるだけでは差別化できなくなるので、希望的観測をすると、少しは分析的・検証的なものが出て来る可能性もあります。

番記者懇談は明らかにアンフェアなので、やめるべきだ

「会見のオープン化は、僕らにボールが投げられた状態」と話す神保哲生さん
「会見のオープン化は、僕らにボールが投げられた状態」と話す神保哲生さん

――記事の質が上がる、ということでしょうか。

神保 ただ、そうなるとは限りません。現状の「会見がオープンになっていなくて、単なる親睦団体であるはずの記者クラブのみにアクセスが認められている」という状態が問題なんです。現段階では、「記者会見に出られるという特権を享受することで、自らが脆弱な位置に立たされている」という点が問題です。具体的には「気に食わないことを言ったり掟を破れば、出入り禁止になるなどの制裁がある」ので、クラブ構成員は予定調和の範囲内で行動するという仕組みが出来上がっています。1社だけ違うことはやらないし、他の人がある程度を超えていやがることはやらない。

――現状では「記者会見に出られる特権を失いたくないので、当たり障りのない質問しか出ない」ということですね。

神保 会見がオープンになるということは、会見に出られることが特権ではなくなることを意味します。これは、ほんの一面に過ぎません。もっと大事なことがある。それは、「記者がどんなにイヤな質問をしても、それを理由にして会見に出られなくなることはない」ということです。欧米の会見がオープンな理由は、それだけです。反社会的なことをしない限り、出入り禁止はないということです。
いわゆる「KY」な質問や、突然愛人スキャンダルに関する質問をしたとしても、全然問題ない。政治家には嫌われるが、それでも会見には出られる。結果として、「会見が真剣勝負の場になる」ということ。これが一番大事です。実は、会見がオープンになった時には、僕ら記者がちゃんと勉強し、クラブ構成員がとても聞かないような質問を連発することで、初めて、その意味が出てくると言えます。

――新規参入者の努力があって初めて、記者会見が「ガチンコ勝負」の場になると言うことですね。

神保 他にも問題はあるんです。今は会見後に「番記者懇談」なるものが行われています。この状態が続くと、「会見には行けるが、懇談には行けない」という懲罰的・制裁的な対応が可能になってしまいます。それだと、会見が「真剣勝負の場」になりにくくなる。懇談は明らかにアンフェアなので、やめるべきです。他社がみんな懇談に出ているのに、例えば「A社だけ厳しい質問をするので懇談には呼ばれない」という状態では、やはり記事の質に差が出てくるでしょう。
元々、記者会見の趣旨は「役人が記者からの質問を1人ずつ受けていたら、時間がかかってしょうがない。質問をする場を設けるので、同じ質問をしたい人も多いでしょうから、質問はまとめてして下さい」というものです。なのに、その後に懇談をやってるなんて訳がわからない。そんな暇があったら個別対応すべきです。
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