「オバマ、日本首相と航空基地交渉をめぐり対立(Obama,Japanesepremieratoddsoverairstationnegotiations)」。そんな不穏なタイトルの記事が2009年11月17日、米紙ワシントンポストのサイトに掲載された。沖縄の米軍普天間基地の移設問題に関して、バラク・オバマ米大統領と鳩山由紀夫首相の認識がかみあわず、交渉が難航している様子を伝えるものだ。バラクとユキオ――ファーストネームで呼び合う関係を築いたはずの二人だが、どこでボタンをかけちがえたのか。米軍海兵隊航空基地の移設をめぐる米国と日本の間のレスリングの試合は終わりそうもない――そんな書き出しで始まるワシントンポストの記事は、普天間基地移設に関して設置された日米閣僚級の作業グループの「目的」が、オバマ大統領と鳩山首相の間で鋭く対立していると伝える。オバマ会見の「implementationoftheagreement」の意味ワシントンポストの記事には「オバマ、日本首相と対立(Obama,Japanesepreimieratodds)」という見出しがついたオバマ大統領は11月13日の日米首脳会談後の共同会見で、普天間基地を沖縄県内に移設するという2006年の日米合意を「履行」するため、ハイレベルの作業グループを設けたと説明した。しかし鳩山首相は後日、次のように発言して、オバマ大統領との解釈の違いを明らかにした。「合意のもとにすべてを決めるという話であれば、議論する必要がない」過去の日米合意を前提とする米国大統領と、日米合意を必ずしも前提とはしないという日本の首相。その背景には、選挙期間中に県外施設や国外移設が望ましいと唱えた鳩山首相の「公約」へのこだわりがあるとみられるが、首脳会談をわざわざ開いたにもかかわらず、かえって溝が広がっているように見えるのはなぜなのか。首脳会談後の共同会見をもう一度、振り返ってみると、オバマ大統領は英語でこう述べている。「TheUnitedStatesandJapanhavesetupahigh-levelworkinggroupthatwillfocusonimplementationoftheagreementthatourtwogovernmentsreachedwithrespecttotherestructuringofU.S.forcesinOkinawa,andwehopetocompletethisworkexpeditiously.(米国と日本は、沖縄の米軍再編に関して両国政府が達した合意の履行に焦点をあてる、ハイレベルの作業グループを設置した。我々は、この作業が迅速に完了することを期待している)」つまり、作業グループの目的について、「合意の履行(implementationoftheagreement)」と明言している。この発言を鳩山首相は隣で聞いていたわけだが、そのときは特に問題とせずに、後になって「日米合意が前提ではない」と反発しているのだ。作業グループの目的は「合意の履行」か、「経緯の検証」か一方、岡田克也外相は11月17日に外務省で開かれた記者会見で、「作業グループの目的は、2006年の日米合意にいたった経緯を検証すること。その点については、ルース駐日米国大使と私の間で基本的に合意している」と説明。「合意の履行」ではなく「合意にいたった経緯の検証」が作業グループの目的だと強調した。となると、作業グループの実態について、オバマ大統領が誤解していたということなのか。その点についてたずねると、岡田外相は「オバマ大統領がその表現にどのような意味を込めたのかは、推測することしかできない。大統領が意図したところがどこにあるのかは、今日開かれる作業グループで確認したい」と答えた。オバマ大統領の認識こそがおかしいと明言したわけではないが、「大統領の意図を確認したい」という言い方には、大統領の発言への戸惑いがみてとれる。鳩山首相ほどではないとしても、岡田外相もオバマ大統領の「合意の履行」という表現に違和感を持っていたようだ。普天間問題について協議する作業グループの第1回会合は17日夜、東京都内で開かれる。日本からは岡田外相と北澤俊美防衛相らが、米国からはルース駐日大使とグレグソン国防次官補らが出席して話し合うが、はたしてオバマ大統領と鳩山首相の認識のズレは解消するのだろうか。
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