法的整理の日航再建 支援機構と銀行団に深い溝
1か月間に二転三転 不信募る銀行団
それでもメガバンクには、「日航の経営がここまで悪化したのは、政府・与党が利権確保のため、不採算の地方空港を乱立させ、不採算路線を飛ばし、負担を日航に負わせたため。法的整理では、あまりにも銀行の責任が重すぎる」(幹部)との思いが強い。
加えて、関係者と再建について事前に調整する「プレパッケージ(事前調整)型」の法的整理といいながら、支援機構の方針決定から法的整理に踏み切るまで、実質的に1か月足らずしかなかったことへの不安もある。
とくに倒産法制が異なる外国では、燃料取引が停滞したり、最悪の場合は債権者から機体を差し押さえられるなど不測のの事態も生じかねない。支援機構は銀行団や日航に対し、法的整理の移行時の対策を説明しているが、メガバンクは「想定すべきリスクを網羅しておらず、準備不足も甚だしい」(幹部)と批判している
また、日本政策投資銀行のつなぎ資金を2000億円に増額することで法的整理の回避をほのめかすなど、「この1か月だけでも、方針が二転三転して、振り回されただけ」(メガバンク幹部)と、政府への不信感も募っているようだ。
支援機構は法的整理に踏み切った場合、融資や保証などで銀行団を全面的に支援する方針だが、もともと中小企業の経営支援向けに発足した組織だけに心許ない。支援機構に航空キャリア経営の専門家はいないし、現時点の更生計画は不採算路線からの撤退や人員削減などのリストラ策が中心で、具体的な将来像は描けていない。
日航再生には支援機構と銀行団との密接な連携が不可欠だが、しこりを残したままのスタートは、先行きに暗い影を落としている。