2024年 4月 26日 (金)

橋下知事が改正貸金業法痛烈批判 高金利認める「貸金特区」構想

   大阪府が2010年7月6日、改正貸金業法の規制を緩和する構造改革特区の設置を政府に提案した。年15~20%の上限金利や、個人の借入総額を年収の3分の1に制限する「総量規制」を一部緩和する一方、債務整理や生活再建の支援機関を府が設置し、規制緩和と多重債務対策の両立を狙う。

   中小事業者や「マチ金」と呼ばれる貸金業者が多い土地柄を反映した提案といえるが、政府や弁護士会から異論が相次いでおり、実現の見通しは立っていない。

7人に1人が「ヤミ金融利用するのは仕方ない」

   「改正貸金業法は一番安易な規制のやり方で、全く知恵がない」。橋下徹大阪府知事は6日、半月前に完全施行されたばかりの改正貸金業法を痛烈に批判した。

   府の特区構想は、府内に本店を置き、認証を受けた貸金業者が府内の店舗で貸し出すことを想定。1年以内の中小事業者向け融資と、20万円以内の個人向け融資の上限金利を改正前の年29.2%に引き上げる。また、年間返済額が年収から生活費と住居費を除いた額の9割を超えない場合は、総量規制を上回る融資を認める。収入のない専業主婦への少額貸し付けも可能にした。

   さらに、府が設置した多重債務者支援機関で、専門カウンセラーが弁護士を通さない個人の債務整理や生活再建支援に取り組む。橋下知事は「債務整理の弁護士報酬が高すぎる。多重債務者の再建支援にあてるべきだ」と批判の矛先を弁護士にも向け、行政機関が債務整理にかかわる意義を強調した。

   大阪府が異例の「貸金特区」を構想した背景には、地域特有の事情もある。府や近畿財務局の調査によれば、近畿では総量規制に抵触し、新たに借り入れができない人の割合が全国平均に比べて高いうえ、貸金業利用者の7人に1人が「ヤミ金融を利用するのは仕方ない」と回答し、「ヤミ金への抵抗感が低い」(府関係者)という。

国や弁護士会は否定的

   一方、改正法による金利引き下げに伴い、貸金業者の間では採算が合わなくなった中小事業者向けつなぎ融資からの撤退や廃業が相次いでいる。府には「中小事業者が資金調達できなくなり、ヤミ金へ流れる」との懸念が根強い。

   橋下知事は99~05年、商工ローン・シティズの顧問弁護士を務め、貸金業者の置かれた状況を知り抜いている。府関係者によると、特区構想は「知事の肝いり」だったという。

   しかし、府の提案に対し、自見庄三郎金融担当相は6日の会見で「金利が20%を上回れば刑罰の対象になる。地域によって刑罰が異なるのは法の公正性に反する」と否定的な見解を表明。大阪弁護士会も「多重債務者救済の流れに逆行する。到底容認できない」と反発した。政府は9月をめどに提案の可否を判断するが、実現可能性は低そうだ。

   ただ、田村謙治内閣府政務官が「(改正法の)金利水準について議論が十分だとは個人的に思っていない」と発言するなど、改正法を疑問視する声は政府内にもあった。今後、中小事業者への影響などが表面化すれば、大阪府の提案がクローズアップされる可能性はある。

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