2024年 4月 20日 (土)

生物多様性名古屋会議一定の成果 「遺伝資源」の利益配分定める

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   国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10=名古屋会議)は、今後の生態系保全の国際目標「愛知ターゲット」(当初の「名古屋ターゲット」から変更)とともに、最大の焦点だった微生物など遺伝資源の利用と利益配分を定めた「名古屋議定書」の採択に成功した。

   先進国と途上国の深刻な対立で合意を危ぶむ声もあったが、2010年10月29日の最終日の議論が30日未明までズレ込むというギリギリの調整の結果、なんとか採択に漕ぎ着けた。ただ、内容にはあいまいな部分もあり、製薬業界など産業界では評価と警戒の声が交錯している。

提供国から事前の同意を得て利益を配分する

   愛知ターゲットは、「20年までに生物多様性の損失を止めるために効果的で早急な行動を取る」と明記。陸域は17%、海域は公海を含め10%を保全するとしたほか、外来種の侵入防止などの目標を定めた。

   議定書は、遺伝資源を利用する企業は提供国から事前の同意を得て、医薬品開発などで得られた利益を配分すると規定。利用国に対し、遺伝資源を不正に入手していないか、監視機関を1カ所以上設けてチェックするよう求めた。さらに、各国が情報を共有できるよう、条約事務局に情報集約機関(クリアリングハウス)を設置することも盛り込んだ。

   様々な医薬品や食品が、微生物や動植物といった遺伝資源を利用して作られる。その多くは熱帯雨林など自然豊かな途上国にあるが、利用するのは主に先進国の企業。途上国は、事前に許可を受けなかったり、契約を結ばなかったりして遺伝資源を持ち出された、という不満が強く、規制と利益配分を強く主張した。

   アフリカの一部の国などからは「大航海時代(15~17世紀)に取得された動植物を利用した場合も利益を還元すべきだ」と、植民地支配の精算も求めたほどだ。これに対し、先進国は企業活動に影響が出ないように柔軟な制度を求めた。

   議定書は過去の遺伝資源を対象外とした点について遺伝資源を使った医薬品や健康食品の製造・研究を進める企業の間には「過剰な負担は回避できた」と安堵の声が上がった。

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