2024年 4月 20日 (土)

なぜ今共通番号導入なのか 消費税アップには避けて通れない

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   政府の「税と社会保障の共通番号制度」に関する実務検討会(座長・与謝野馨経済財政担当相)が2011年1月末、全国民に番号を割り振る「共通番号」に関する基本方針を打ち出し、導入に向けて本格的に動き始めた。

   2月中にも「番号制度創設推進本部」(本部長・菅直人首相)を設置し、11年秋の臨時国会で関係法を制定、15年1月に利用開始をめざし、名称も公募するなど国民の理解を得たい考えだ。

所得税の不公平税制是正も狙う

   「共通番号」は、国民一人一人に番号を振り、所得を把握するとともに、納税や社会保障サービスに活用する制度。番号導入して氏名、住所、生年月日、性別の基本情報のほか、年金手帳、医療保険証、介護保険証など「保険証機能」を一元化し、その人の番号が入ったICカードを配る。

   国民はこのカード1枚あれば、各種の社会保障給付を受けられ、インターネットで自分の医療や介護の診療履歴も把握できる。併せて確定申告で各種証明書の添付を省略できるようにして医療費の控除申請などを簡単に受けられるなど、政府は「利便性」のPRに余念がない。

   米国の社会保障番号など、各国に同様の番号があり、事実上の個人のID番号として使われている。確かに、旧社会保険庁の杜撰な管理による「消えた年金」のような問題も、共通番号なら起こりにくいが、全国民に番号を振る「国民背番号制」ともいわれ、国の統制への不安が根強いほか、個人情報の漏えいも懸念される。このため、政府は情報保護体制を監視する第三者機関設置も打ち出し、不安を払拭しようと懸命だ。

   なぜ今、共通番号なのか。消費税アップと一体であるのは言うまでもない。低所得者への社会保障を充実させることで消費税増税への理解を得たいというのが一つだが、実務的にはより意味が大きい。

   所得を100%捕捉されるサラリーマンに対し、個人事業者や農民などは必要経費が幅広く認められ、事業所得と個人所得の区別があいまい。「クロヨン」「トーゴーサン」などと呼ばれる所得税の不公平税制是正は、消費税の「益税」(非課税業者に消費税分として客から預かった消費税の一部が残る)問題とともに、「消費税率アップに避けて通れない課題」(財務省幹部)。共通番号による事業者らの所得の正確な把握が不可欠なのだ。

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