「サンフランシスコ平和条約は無効」発言に「台湾は日本のままになるぞ」のツッコミ なぜ中国は強引な主張を

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   高市早苗首相の「台湾有事」をめぐる発言から、中国が反応を強めている。

   中国外務省の報道官は2025年11月27日、戦後日本の領土整理を定めたサンフランシスコ平和条約について「中国やソ連など第2次世界大戦の主要当事国を排除した状態で結ばれた」として無効を主張。12月1日には林剣副報道局長が尖閣諸島(中国では釣魚島と表記)について「中国固有の領土」と主張した。

   日本のSNSでは「だから国際司法裁判所に行こうよ」といった「ツッコミ」が上がっている。なぜ、このような事態となったのだろうか。

  • 1951年9月、サンフランシスコ平和条約に署名する吉田茂首相(写真:Mary Evans Picture Library/アフロ)
    1951年9月、サンフランシスコ平和条約に署名する吉田茂首相(写真:Mary Evans Picture Library/アフロ)
  • 中国外務省・毛寧報道官(写真:AP/アフロ)
    中国外務省・毛寧報道官(写真:AP/アフロ)
  • 1951年9月、サンフランシスコ平和条約に署名する吉田茂首相(写真:Mary Evans Picture Library/アフロ)
  • 中国外務省・毛寧報道官(写真:AP/アフロ)

日本の首脳が台湾問題に慎重な発言を繰り返してきたわけ

   騒動の発端は、2025年11月7日、衆院予算委員会で高市首相が台湾有事について、2015年の安倍政権で成立した安全保障関連法による、集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」について質問され、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケース」と答弁したことだった。

   この安全保障関連法が施行されてからの日本の首相は、存立危機事態について明言を避けてきた。

   それは1972年に日中共同声明を発表して以降、中国が「台湾は中国の一部である」という主張に完全な同意をしない、慎重な態度をとってきたことに連なるものである。

   さらに遡って1951年に、サンフランシスコ平和条約で、台湾の帰属先を明らかにしないまま放棄したかたちをとったため、その後も台湾問題を明言しない姿勢をとり続けてきたのだ。

   今回の高市発言は、そうした過去の首脳の姿勢を、大きく踏み越えたものであったのだ。

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