2019年 12月 7日 (土)

「お盆までに希望者全員入居」 菅首相方針がとても無理な理由

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   東日本大震災の被災者向け仮設住宅の用地確保が難航している。国土交通省は2011年4月25日、必要とされる7万2000戸のうち5万2000戸分の用地について確保のめどがついたと発表した。うち3万戸は当初の目標通り5月末までに完成できるとしている。

   だが、約2万戸分の用地確保見通しは立っていない。そもそも、確保できた用地も被災地から遠いなど、自分たちの住む町での生活再建を望む被災者の希望に合わない「ミスマッチ」も目立つ。菅直人首相はお盆までの希望者全員入居の方針を掲げるが、現状では「絵に描いた餅」(被災地自治体関係者)のようだ。

被災地に近い大きな公有地の多くはすでに建設予定地

   事情は県によって異なる。避難住民は13万人のうち11万人が宮城、岩手、福島の3県に集中する。この中で最も順調なのが岩手県で、必要な1万8000戸のうち1万2700戸分の用地を確保し、7月末には建設が完了すると見込む。

   福島県は2万4000戸の必要戸数に対し、確保できた用地は1万800戸あまり。福島第1原発事故で自治体ごと避難した市町村がどこに仮設住宅を建てたいかを確定できれば、用地の確保は進むとみられ、県は9月末には建設を終えられると見込む。

   宮城県は3万戸の必要数に対し、2万8295戸の用地確保のめどがついた。この数字だけみれば概ね確保できたことになるが、県は5月末までに完成予定の約1万戸を除く6月以降分の2万戸近くは、被災地との距離などから実際の建設の見通しを立てられないという。

   用地が確保できないのは、平地はほとんど被災し、高台の公園や学校の校庭などだけでは、とても間に合わないからだ。被災地に近い大きな公有地の多くはすでに建設用地になっており、私有地を借り上げる必要があるが、自治体の機能低下もあって、適当と思われる土地の所有者を特定し、区画を確定し、借りる――という手続きが遅々として進んでいない。

   仮設住宅は、再び津波に襲われる可能性もあることから、津波浸水地域を避けるのが原則だ。しかし、用地難を受けて、宮城県南三陸町は浸水した2つの学校の校庭に計125戸の仮設住宅建設を決めた。「同規模の津波が来ても校舎の上方階に避難すれば安全」との判断で、県も認めざるを得なかった。

   さらに、戸数の確保だけでなく、被災者の希望地域から遠いという問題もある。宮城県の場合、用地確保のめどがついた2万8295戸のうち1万1525戸分が被災していない市町村にある。

   被災者は自分たちの住む市町での生活再建を望んでおり、「ミスマッチ」は深刻。岩手県釜石市が市内で設置を予定している仮設住宅2010戸の応募状況でも、平均倍率は1.6倍だが、28地区のうち3地区230戸で応募者数が戸数を下回る「定員割れ」。3地区はいずれも、市内中心部から10キロ以上離れており、不便さが敬遠されたとみられる。

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