2024年 4月 29日 (月)

東京電力債格下げ相次ぐ 引き金は枝野「債権放棄」発言

東電除くと震災前の水準取り戻す

   東電を解体するというのなら、債権放棄もあるだろうが、今の姿で存続する前提を変えない以上、「債権放棄となれば投資家が東電にマネーを供給できなくなる」との懸念が広がっているためだ。

   東電以外の社債も震災後、東電につられてスプレッドが拡大し、4月の社債発行は日産自動車など一部に限られた。ただ、5月以降は信用力の高い銘柄を中心にスプレッドも震災前の水準を取り戻し、新日本製鉄やNTTなどの発行再開が相次いだ。関西電力や九州電力など東電以外の電力会社も6月以降に起債する方向で調整を進めている。償還時期を迎えた社債を抱える投資家の需要が強いことも背景にある。

   東電社債は日本の社債市場約63兆円のうち、発行残高約5兆円と最大で全体の8%を占めるだけに影響は大きい。しかし今のところ、関電が起債を計画するまでに状況は改善し、「東電抜きでの市場正常化」を模索する局面に来ている。

   問題は「債権放棄」の実現可能性だ。菅政権退陣が時間の問題とはなり、「枝野発言」の重みも変化しているが、次期政権が東電問題にどう対応するかは未知数だ。社債市場は不安を抱えながら 「東電抜き」で活性化できるかを探ることになりそうだ。

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