ネットへの展開に積極的な産経新聞が、政治記事の見出しに「ツンデレ」という言葉を掲げ、話題を呼んでいる。自民党に対する民主党の強硬な態度が急に軟化したことを例えたものだが、文化芸能関係以外で「ツンデレ」という言葉が飛び出すのは異例だ。話題になっている記事は、2011年度第3次補正予算案と復興増税案をめぐる与野党の協議について報じたもの。「メイド喫茶」顔負けの民主党の「ツンデレ作戦」?産経新聞の紙面におどった「ツンデレ」の文字。写真のキャプションには「萌えたろ?」とあるいわゆる「政局記事」だが、10月13日21時過ぎにウェブサイトに掲載された時の見出しは、「民自公3党協議スタートへ 民主が『ツンデレ作戦』に自民『萌え~』」で、紙の新聞(東京本社15版)に掲載された時の見出しも、「復興債、たばこ…折れて3党協議奪取ツンデレ民主自民を骨抜き」と、政治記事としては異例のものだ。なお、「ツンデレ」は、「ツンツンデレデレ」の略語だとされ、アニメやゲームのキャラクターが「最初はツンと敵対的だが、ある条件ではデレデレといちゃつく」様子を表す。この用語が政治記事とどのように結びつくかは見出しからは分かりにくいが、記事本文のリード文には、「最初はつれなく接して、急にデレデレと軟化する『メイド喫茶』顔負けの民主党の『ツンデレ作戦』により自民党はすっかり戦闘意欲をそがれてしまった」と、一応の説明はある。「若い人たちに興味を持って読んでいただきたいと願っています」政治記事にこの用語が使われるのは異例だ。たとえば過去1年間の朝日新聞の記事を見ても、記事中に「ツンデレ」という言葉が使われたのは地方版を含めて6件で、いずれも文化芸能面やコラムなど。そのうち、見出しにこの表現が使われているのは、2011年8月27日付けの、「ツンデレ美少女の『信長』」と題して掲載されたライトノベルの書評と、10年11月5日の大阪本社版芸能面の「秋の連ドラ、『デレツン』に注目記者座談会」という記事のみだ。産経新聞社広報部では、このような見出しがついた経緯について、「新しい試みとして見出しをつけました。政治など硬派のニュースにも若い人たちに興味を持って読んでいただきたいと願っています。なお、紙面制作の過程についてはお答えできません」と説明するが、ツイッターでは「頭が悪そうな記事」「産経のライバルはまとめサイトらしい」などと書かれ、意外に冷たい反応だ。
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